寡婦(寡夫)控除におけるジェンダー観

  • 渡部 克哉
    早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • Gender Politics in Widow/widower's Deduction in Japan
  • カフ カフ コウジョ ニ オケル ジェンダーカン

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抄録

本論文では,国会会議録や官庁の資料を中心に新聞記事や雑誌記事などで補いながら,寡婦(寡夫)控除の変遷をたどり,寡婦と寡夫の要件の差異および寡夫控除の是非に関する議論におけるジェンダー観を考察した.寡婦(寡夫)控除は寡婦については1951年,寡夫についても要望が高まるなかで1981年に創設された.要件の差異は,寡夫は寡婦に比べ,配偶者との死別や離別によって経済的な影響を被ることは少なく,収入も多いという想定から設けられたと推測された.つまり,寡婦(寡夫)控除の要件の差異,さらには寡夫控除の是非に関する議論も,「男は仕事,女は家庭」というジェンダー観を反映していたといえる.最後に,寡婦(寡夫)控除が廃止されたとしても,ひとり親家庭に対する所得保障は依然として必要であり.また「男女の役割の平等」を促進することも重要であると論じた.

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 51 (1), 18-28, 2010-05-31

    一般社団法人 日本社会福祉学会

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