Joullie-Ugi反応を用いたplusbacin A3の合成研究

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  • Synthetic Studies of plusbacin A3

抄録

<p>序論 </p><p>Plusbacin A3は1992年、Pseudomonas属PB-6250から単離・構造決定されたノナデプシペプチドであり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌やバンコマイシン耐性腸球菌に対する強力な抗菌活性を示す。バンコマイシンと同様に細菌細胞壁の生合成前駆体であるlipid IIと結合し、その後の重合反応を阻害することで抗菌活性を示すことが明らかとなったが1)、plusbacin A3はバンコマイシン耐性株に対しても抗菌活性を示すことから、lipid IIとの結合様式はバンコマイシンと異なると予想される。しかし、その詳細は未だ解明されていない。Plusbacin A3は構造も特徴的であり、5つの非天然アミノ酸、2つのD-アミノ酸を含み、極性官能基に富んだ環状デプシペプチド構造に脂溶性側鎖が結合した構造を有する。全合成は2007年にVanNieuwenhzeらによって達成されているが2)、非天然アミノ酸であるtrans-3-hydroxy-Proを出発物質とした直線的な合成法であり、誘導体合成へ展開するには十分な合成法とは言えないものであった。</p><p>そこで、本研究ではplusbacin A3の有する2つのtrans-3-hydroxy-Proに着目し、このアミノ酸の構築とペプチド鎖への導入を一段階で行えるJoullie-Ugi反応3) (JU-3CR )を用いてplusbacin A3を合成することとした。本合成法は用いるユニットを変換することで多彩な誘導体の合成が可能である。</p><p>Joullie-Ugi反応の検討 </p><p>五員環イミンを用いたJU-3CRは立体選択性が発現しないことが知られているため3)、全合成に先立ちモデル化合物を用いてJU-3CRの検討を行った。a位にかさ高いシリルオキシ基を有する五員環イミン1、t-ブチルイソシアニド2、フェニルプロピオン酸3を用い、各種溶媒を用いて反応を行ったところ、トルエン等の非極性溶媒ではcis体を、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP) 等のプロトン性極性溶媒ではplusbacin A3の有するtrans体をそれぞれ優先して与えることを明らかとした(Scheme 1, Table 1)。Trans体を優先して得る条件を見出したため、続いて本反応の基質適応範囲について調べることとした。</p><p> イソシアニドユニットとしてa-イソシアノエステル6を用いると複雑な混合物を与える結果となった(Scheme 2)。反応液のESIMSスペクトルからヘテロ三量体11のピークが検出されたため、この原因を以下のように考察した。a-イソシアノエステル6は環化反応によりオキサゾリン10を与え、五員環イミン1は三量体1’との平衡にある(Figure 1)。この平衡にオキサゾリンが関与することでヘテロ三量体11が生成し、イソシアニドが消費されてしまったためと考えられる。そこで、オキサゾリン生成を起こさない基質としてb-イソシアノエステル7を用いると反応は進行し、a-イソシアノエステルを還元したイソシアニド8では良好な収率で目的化合物が得られた。また、いずれの場合も立体選択性に関してはモデル実験と同様にtrans体を優先して与えた。以上の知見を踏まえ、plusbacin A3の合成研究に着手した。</p><p>plusbacin A3の合成     </p><p>Figure 2にplusbacin A3の逆合成解析を示した。脂溶</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763021770496
  • NII論文ID
    130007399556
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.56.0_poster52
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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