海綿 Acanthostrongylophora ingens から得られた新規 manzamine 類縁体の構造と生物活性

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  • Structures and biological activities of new manzamine derivatives isolated from the marine sponge Acanthostrongylophora ingens

抄録

<p> 海綿由来アルカロイドであるマンザミン類は、manzamine A (1) 1) の発見以来、80種類以上の類縁化合物が単離されている。構造の特徴として、1やmanzamine B (2) 2) に認められる、複雑に融合した五環性あるいは四環性構造に b-carbolineが結合した基本骨格を有している。基本骨格に酸化や還元反応が進むことにより生成した類縁体に加えて、1の二量体3) や新奇性の高い骨格を有する類縁体4) も単離されている。我々は、海洋生物から医薬リード化合物の探索のため、研究室において種々のアッセイを行っている。今回、インドネシアの異なるポイントで採集した3種類の海綿Acanthostrongylophora ingensのエキスが細胞毒性、マクロファージにおけるコレステロールエステルの蓄積阻害作用、プロテアソーム阻害作用を示したので、活性成分の精製を行った。その結果、これまでに報告されているmanzamine類縁体とは異なる構造的特徴を有する7種類の新規化合物の単離に成功したので報告する。</p><p>1. Acantholactam (3) の構造</p><p>  2006年12月にインドネシアのスラウェシ島北部Ti Toiで採集した海綿A. ingens(湿重量250 g)のEtOHエキスのEtOAc可溶画分が細胞毒性を示した。精製を行い、1 (34.2 mg) に加えて新規化合物3 (3.8 mg) を単離した5)。3は分子量がC36H42N4O4で、2次元NMRの解析により1に存在する6/6/13員環に b-carbolineが結合した構造を有することが分かった。残りのC8H11NO3から構成される構造は、HOHAHAからN-27の窒素に (Z)-2-hexenoic acidが結合した g-lactam環であることが明らかとなった。3は1のC33-C34結合が酸化的に開裂して生成したと考えられるが (Scheme 1)、Hamannらがインドネシア産の海綿から単離したacantholactone (4) 4c) は、3の g-lactam環が開裂した後、新たに d-lactone環と e-lactam環が形成されて生成したと考えることができる。</p><p>2. Pre-neo-kauluamine (5) の構造</p><p>  2006年12月にインドネシアのスラウェシ島北部Bajotalawaanで採集した海綿A. ingens(湿重量600 g)のEtOHエキスのEtOAc可溶画分が、マクロファージでのコレステロールエステルの蓄積阻害作用を示した。精製を行った結果、1 (380 mg) および1の二量体neo-kauluamine (6) 3b) (2.6 mg) に加えて新規化合物5 (1.7 mg) を単離した5)。5の分子量はC36H44N4O3で、1より酸素が2個多い。2次元NMRスペクトルの解析により5は1の類縁体で、5には互いに結合した低磁場のメチン水素2個 [d 4.11 (H-31), d 4.20 (H-30)] が存在し、32位と33位のオレフィンシグナルが消失している点が1とは異なっていた。さらに、5は1と同様に8員環を有しているが、30位、31位、34位の炭素には酸素が結合していると考えられた [d 65.6 (C-31); d 69.2 (C-30); d 91.7 (C-34)]。H-30とC-34のシグナルにHMBC相関が認められたので、30位と34位はエーテル結合し、31位には水酸基が結合していると考えられた。5を -20℃で2ヶ月間保管したところ、二量体であ</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763021773568
  • NII論文ID
    130007399489
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.56.0_oral38
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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