MEAシステムを用いたヒトiPS細胞由来末梢ニューロンの痛み応答評価

DOI
  • 小田原 あおい
    東北工業大学 東北大学 材料科学高等研究所 日本学術振興会
  • 松田 直毅
    東北工業大学
  • 鈴木 郁郎
    東北工業大学 日本学術振興会 日本医療研究開発機構 ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアム

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of pain responses in human iPSC-derived sensory neurons using MEA system

抄録

<p>【背景】薬剤性の末梢神経障害は痛みなどの副作用を引き起こすことが知られている。ヒトiPS細胞由来末梢神経を用いて、薬剤性の痛み(副作用・毒性)を評価できれば、実験動物の代替えとなると共に、ヒトに対する評価が可能となる。そこで、本研究では、ヒトiPS細胞由来感覚ニューロンの機能(電気活動)を指標とした痛み応答評価系の構築を目指し、平面微小多電極アレイ(MEA)を用いて代表的な痛み関連分子および抗癌剤に対する応答の検出を目的とした。</p><p>【方法】ヒトiPS細胞由来末梢ニューロンをMEA上に培養し、代表的な痛み関連分子であるカプサイシン、メンソール、AITCに対する応答および末梢神経障害を引き起こすことが知られている抗癌剤であるビンクリスチン、オキサリプラチンに対する応答を調べた。また、in vivoで抗癌剤投与後にみられる副作用である冷過敏応答がin vitroにおいても観察されるか検証を行った。</p><p>【結果】培養したヒトiPS細胞由来末梢ニューロン特異的なイオンチャネルが発現しているかを免疫染色にて観察したところ、痛み情報の伝達に関与し、末梢神経に発現するNav.1.7や、カプサイシンなどの辛味成分を感受するTRPV1, わさび成分などを感受するTRPA1, メンソールや28℃以下の冷感を感受するTRPM8の発現を確認した。また、各種痛み関連分子に対する誘発応答が観察され、各種イオンチャネル拮抗剤存在下で誘発応答が消失する様子が観察されたことから、機能的なイオンチャネルが発現していることが明らかとなった。さらに、抗癌剤に対する誘発応答も観察され、中でもin vivoで観察されるオキサリプラチン投与における冷過敏応答現象を濃度依存的にヒトiPS細胞由来感覚ニューロンにおいて検出した。</p><p>【考察】MEAシステムを用いたヒトiPS細胞由来末梢ニューロンにおける各種痛み関連分子および抗癌剤に対する痛み応答の検出できたことから、本評価法はヒト末梢神経障害(毒性・副作用)の検出手法として有効であることが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763030038144
  • NII論文ID
    130007432406
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_p-200
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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