ヒ素の化学を利用した鉄系超伝導体の新物質開発(最近の研究から)

書誌事項

タイトル別名
  • Development of Novel Superconductors Using the Chemistry of Arsenic(Current Topics)
  • ヒ素の化学を利用した鉄系超伝導体の新物質開発
  • ヒソ ノ カガク オ リヨウ シタ テツケイ チョウデンドウタイ ノ シン ブッシツ カイハツ

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抄録

銅酸化物ではCu 3d軌道とO 2p軌道のエネルギー的な拮抗が,電荷移動型絶縁体という高温超伝導の舞台を作った.鉄系超伝導体でもFe 3d軌道とAs 4p軌道の拮抗が重要である.その一例が,鉄3dバンドのフィリングに応じたAs-As結合の形成・切断で,CaFe_2As_2では「面間」のAs-As結合を切断すると電子系が二次元化し,超伝導が現れる.Ca_<10>(Pt_4As_8)(Fe_<2-x>Pt_xAs_2)_5では「面内」にAs-As結合が形成した層間物質によって二次元化し,38Kの超伝導が発現する.SrPt_2As_2では全てのAs-As結合が切断され,正構造のPtAs層と逆構造のAsPt層の交互積層が生じる.AsPt層は絶縁性で,二次元化したPtAs層で5.2Kの超伝導が現れる.本稿では,これらの化合物を例として,ヒ素の化学を利用した電子状態の制御と高温超伝導体の物質設計について紹介する.

収録刊行物

  • 日本物理学会誌

    日本物理学会誌 68 (4), 226-231, 2013-04-05

    一般社団法人 日本物理学会

参考文献 (40)*注記

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