日本産ショウワァメフラシの記録

書誌事項

タイトル別名
  • A New Record of Aplysia (Varria) extraordinaria (Allan, 1932) (Opisthobranchia: Anaspidea) from Suruga Bay, Japan
  • A new record for Aplysia (Varria) extraordinaria (Allan, 1932) (Opisthobranchia: Anaspidea) from Suruga Bay, Japan
  • new record for Aplysia Varria extraordinaria Allan 1932 Opisthobranchia Anaspidea from Suruga Bay Japan

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抄録

本邦でのショウワアメフラシAplysia(Varria)extraordinaria(Allan,1932)の最初の記録は相模湾葉山近傍の名島近海から漁師の網にかかった1個体が,皇居内生物学御研究所に寄託され,同研究所によって作画されて馬場のもとに送られた(1949,1個体,体長6cm)。それを受けて馬場は同定を試みたが,同定に困難な点が多く,慎重を期して保留になっていた。その後高岡生物研究会によって富山湾からも採集された(1961,1個体,体長13.5cm;1993,1個体,体長8cm)。最近,駿河湾の真崎(清水市・三保)付近の海域で2003年4月,多数のよく泳ぐアメフラシが東海大学海洋科学博物館の毎原泰彦博士によって発見・採集され,その生きた個体(3個体)とカラー写真が濱谷に送られてきた。濱谷はこれらを研究し,馬場の遺稿(未発表)をもとにさらに所見を追加して記載した。Aplysia(Varria)extraordinaria(Allan,1932)ショウワアメフラシ(馬場新称)本種は日本産の最も普通種であるアメフラシAplysia(Varria)kurodai(Baba,1937)に似る。アメフラシ類としては比較的大形で,体長は約20cm迄(毎原氏私信)。両種共に体表は平滑であるが,本種は暗黄褐色(茶色ないし飴色)の地色の上に多数の大小の乳白色斑紋と,少数の大小の黒色斑紋を散布し,さらに黒色細線からなる粗い網目状の模様がある。翼足の内面には黒い網目状の細線がない。翼足は薄く,大きく拡がり,後方で合一することがなく,遊泳の具となる。触角は左右が相接近して位置し,先は細い。口触手は拡げると大きく,広い。貝殻は幅広の卵円形で,大きく,扇平,無色透明なキチン質であるが,ごく僅かな石灰化が見られる。本鰓は大きい。肛水管は幅広く,長い。尾は短い。蹠面は淡褐色で,その後方には吸盤を形成しない。陰茎に吻針がない。相模湾産の個体(No.1)の歯式は40×20・1・20,駿河湾産の個体(No.2)では37×25・1・25。中央歯には主歯尖と,その両側に1〜2個の副歯尖があり,主歯尖の両側には鋸歯が列生するが,副歯尖には鋸歯がない。側歯の主歯尖の両側にも鋸歯列があり,副歯尖は主歯尖の外側に2〜3個あり鋸歯がない。最外側に近い歯は次第に退化的になる。種の模式産地はオーストラリア(シドニー港),模式固体は体長30cmで,遊泳する(Allan,1932)。分布:オーストラリア,クインズランド,ニュージーランド,ハワイ諸島,日本(相模湾,富山湾,駿河湾)。附記:ショウワアメフラシは馬場によってJANOLUS 101:4-10.2000.(高岡生物研究会)に新称として簡単に紹介された。同好会誌JANOLUSは仮綴じで,且つ同好会の内部にのみ配布されたものであるため,ここに正式公表するものである。

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