BS-1 外科領域におけるアルブミン製剤の適正使用に向けて

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  • BS-1 Promotion of Appropriate Usage of Albumin in The Department of Surgery

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抄録

血液製剤アルブミンの適正使用を推進するにあたり、2015年6月に日本輸血・細胞治療学会から「科学的根拠に基づいたアルブミン製剤の使用ガイドライン」が発表された。このガイドラインには、「出血性ショックや重症敗血症に対するアルブミン製剤使用は、晶質液と比べ、死亡率などを改善しないこと」が明記されている。しかし推奨度は低いものの、「アルブミン製剤が低蛋白血症に伴う肺水腫を改善」し、「血行動態不全に伴う合併症を改善する」といった内容も記載されている。実際、心臓血管外科領域においては、術前にアルブミン製剤を投与することが、術後急性腎不全の予防につながるとも報告されている。今後さらに、外科領域におけるアルブミン製剤の臨床効果について慎重に検討していく必要があり、加えてアルブミン製剤の適正使用についても推進していかなければならない。<br>  当院におけるアルブミン製剤の使用状況について調査したところ、年間使用頻度(等張アルブミン製剤(以下、等張)および高張アルブミン製剤(以下、高張))は、2016年が7513回、2017年が10673回と増加傾向であった(今回の検討では、血漿交換での使用分は除く)。具体的に、内科領域では、2016年が1357回(うち等張472回、高張885回)、2017年が2347回(等張578回、高張1769回)と、高張アルブミン製剤の使用増加が目立っていた。主な原因としては、血液内科の移植関連での使用増加、消化器内科の使用症例数の増加が挙げられた。一方で、外科領域では、2016年が6156回(等張4770回、高張1386回)、2017年が8326回(等張6348回、高張1978回)と、内科領域以上に使用頻度が増加しており、特に等張アルブミン製剤の増加が目立っていた。科別にみると、心臓血管外科、消化器外科での増加が、他科と比較して顕著であった。心臓血管外科においては症例数の増加が原因であったが、消化器外科においては、症例数の増加に比して(2016年:239例、2017年:286例)、アルブミン使用頻度がより増加していた(2016年:1841回、2017年:3100回)。消化器外科領域でのアルブミン製剤の使用は、肝胆膵領域、食道領域が主である。本セッションでは、ガイドラインと照らし合わせて、当院ならびに当科(消化器外科)におけるアルブミン製剤の適正使用の是非について検討するとともに、特に食道癌治療におけるアルブミン製剤の臨床的意義について議論する。

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