腰痛症患者に対する理学療法の行動科学的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Behavioral Scientific Studies on Physical Therapy in Low Back Pain Patients

この論文をさがす

説明

腰痛教室受講患者のコンプライアンス行動に,どのような心理社会的行動特性が関与しているのかについての検討を行った。腰痛教室受講者52名を対象に,6つの心理社会的行動尺度(「病気一般に対する脆弱感」尺度,「生活行動に対する保健行動の優先性」尺度,「積極的対処行動」尺度,「情緒的支援ネットワーク」尺度,「保健規範意識」尺度,「痛みの感受性」尺度)により行動特性を調査し,腰痛教室における指導内容に対するコンプライアンスを「コンプライアンス行動」尺度により調査を行った。この「コンプライアンス行動」尺度を目的変数とし,心理社会的行動尺度を説明変数とした重回帰分析を行った。その結果,腰痛症患者の行動特性がコンプライアンス行動の実行に強い影響力のあることが明らかとなった(R2 = 0.82,p < 0.001)。標準偏回帰係数を算出したところ,目的変数であるコンプライアンス行動の実行に影響力のある因子は,「優先性」(β = 0.346,p < 0.01),「情緒的支援」(β = 0.306,p < 0.01),「保健規範」(β = 0.225,p < 0.001)であり,「痛み感受性」(β = - 0.247,p < 0.001)は負の影響力を及ぼす因子であった。腰痛教室を効果的なものとするためには,腰痛症患者の身体面だけでなく心理社会的行動特性をも充分把握する必要性のあることが示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学

    理学療法学 20 (5), 317-324, 1993-09-01

    一般社団法人日本理学療法学会連合

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ