管渠集約区域の排水能力を考慮した下水道ネットワークモデルの実時間浸水解析への適用

  • 李 星愛
    東京大学工学部工学研究科都市工学専攻
  • 古米 弘明
    東京大学大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Applicability of a sewer network modeling method considering drainage capacity of lumped sub-catchment to real-time inundation analysis
  • カンキョシュウヤク クイキ ノ ハイスイ ノウリョク オ コウリョ シタ ゲスイドウ ネットワークモデル ノ ジツジカン シンスイ カイセキ エ ノ テキヨウ

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説明

<p>都市河川流域を対象に膨大な数の下水道管渠を詳細にモデル化して,浸水解析を行うには計算時間を要するため,リアルタイム予測は非常に困難となる.そこで,著者らは大岡川流域を研究対象として管渠集約化を行い,地表面流出モデルパラメータの流域幅を補正する方法を提案した.本研究では,その方法を鶴見川流域に適用してその有効性を検証した.最大降雨強度20 mm/hr の中央集中型降雨を用いた解析の結果,管渠を集約したモデルにおいても,詳細モデルで計算した最大流量を良好に再現できることから,他流域への適用が有効であることを示した.さらに,豪雨時における管渠の排水能力不足に伴う溢水発生や流出遅れを再現するため,小排水区ごとに最大排水可能量を考慮する管渠集約化の手法を検討した.最大排水可能量を考慮しないランピングモデルでは,時間最大降雨強度57.9 mm/hrという豪雨時における最大流量は,詳細モデルを比較対象として回帰直線の傾きが1.48~1.59と過大評価された.一方,最大排水可能量を流量制限としたランピングモデルの場合には,1.19~1.27と安全側で再現性も大幅に向上した.鶴見川の小流域において,流量制限付きで管渠数を一桁程度減少させたランピングモデルを適用した結果,最大流量の再現性を維持しながら詳細モデルと比べて6倍~102倍まで計算速度の短縮が可能となった.</p>

収録刊行物

  • 下水道協会誌

    下水道協会誌 55 (670), 116-123, 2018-08-01

    公益社団法人 日本下水道協会

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