有毒イモリから得られた新規環状グアニジン化合物群とテトロドトキシン生合成経路の考察
書誌事項
- タイトル別名
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- The Novel Cyclic Guanidine Compounds Obtained from the Toxic Newts, and Prediction of Biosynthetic Pathway Towards Tetrodotoxin
説明
<p>[背景・目的]</p><p> テトロドトキシン (tetrodotoxin, TTX, 1) は、電位依存性ナトリウムチャネルを強力かつ選択的に阻害する神経毒であり、致死性の食中毒を引き起こす。TTXはフグ、巻貝、カニなどの海洋生物、および陸棲の両生類であるイモリやカエルに含まれ、世界中に分布する。この特異な構造が自然界でどのように構築されるかは予測が困難であり、TTXの生合成経路は未だ解明されていない。既に我々も含めた複数の研究グループが海洋由来のバクテリアによるTTXの生産を報告しており1)、TTXは食物連鎖により海洋生物へと蓄積されると考えている。一方、陸上におけるTTXの生産生物は未同定である。唯一のラベル化合物の投与実験として、清水らによるイモリへのarginine, acetate等の投与例があるがTTXはラベル化されず2)、遺伝子解析からTTXの生合成経路に言及した研究もこれまでない。そこで我々は、TTX類縁体の化学構造が生合成経路を反映していると考え、新規TTX類縁体(生合成中間体)を得るために質量分析器を駆使した網羅的な探索を実施してきた3)。そして最近、有毒のオキナワシリケンイモリ (Cynops ensicauda popei) から、TTXのC5-C10が直接炭素-炭素結合した10-hemiketal-typeの類縁体の4,9-anhydro-10-hemiketal-5-deoxyTTX (2) を発見した。化合物2は国内外の複数の有毒イモリに共通して存在していたため生合成中間体であると考え、2の特徴的な骨格構造からモノテルペンを出発物とする新たな生合成経路の可能性を考えた (Fig. 1)4)。本研究では、推定した経路を基に更なる生合成中間体を探索したので報告する。また未解明であるイモリにおけるTTXの起源を追及した。</p><p>Figure 1. Proposed biosynthetic pathway towards TTX based on the structure of 2.4)</p><p> </p><p>1. 新規環状グアニジン化合物群とTTX生合成経路の考察</p><p> 質量分析器を用いて推定した生合成経路における中間体を探索した。これまで我々は水溶性の高いTTX類縁体の探索法として、希酢酸加熱抽出、活性炭による前処理、HILIC-LC-MS/MS3c, 5)による解析を行ってきた。しかし、本研究のターゲットとなる生合成中間体はTTX類縁体よりも親水性が低いことが予想されたので、探索のステップをそれぞれメタノール抽出、ODSによる前処理、逆相カラムによるLC-MSへと変更し、より初期の生合成中間体に焦点を当てた探索法を新たに構築した。この疎水性化合物用の探索法と従来の親水性化合物用の探索法の二つの方法で予想生合成中間体の発見を目指した。</p><p>1-1. Cep-210, Cep-212の構造解析</p><p>疎水性化合物の探索では、C. e. popeiのメタノール抽出物から[M+H]+ m/z 210.1606 (C11H20N3O, err. 2.2 ppm, ESI-TOF-MS) の微量新規成分 (Cep-210, 3) を検出した。その分子式から、化合物3は予想生合成中間体に相当する可能性が考えられたため、大量抽出および単離・構造決定を試みた。化合物3をC. e. popeiの身体組織 (415 g、約70匹) からメタノールで抽出して分配操作を行った後、数種の逆相カラムと弱酸性陽イオン交換カラムを用いて単離した。得られた3(69 nmol、マレイン酸を内部標準として1H NMRの積分値より算出)をCD</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
収録刊行物
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- 天然有機化合物討論会講演要旨集
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天然有機化合物討論会講演要旨集 57 (0), PosterP63-, 2015
天然有機化合物討論会実行委員会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763050090752
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- NII論文ID
- 130007490703
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- ISSN
- 24331856
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可