連続的Overman/Claisen転位の開発と(+)-Neostenineの全合成

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タイトル別名
  • The sequential Overman/Claisen rearrangement: Development and application to total synthesis of (+)-neostenine

抄録

<p>1. 緒言</p><p>  当研究室では、糖や酒石酸などの入手容易なバイオマスを用いたキラルプール法とシグマトロピー転位を組み合わせた生物活性天然物の実用的な不斉合成法の開発に取り組んでいる。バイオマス由来のアリル-1,2-ジオール1に対しシグマトロピー転位を用いると、新たな結合の形成と同時にアリルアルコール構造を有する2が生成する。生じた2に対し、即座に2回目のシグマトロピー転位を適用すれば、連続的転位体3が得られる。本法は、バイオマスより容易に合成できるジオール1から、不斉転写反応により一挙に複雑な光学活性化合物が合成できる。しかし、一般的にバイオマスに由来する複数の水酸基の区別化は困難であり、選択的保護(1→4)・脱保護(5→2)に伴う工程数の増加が問題であった。本発表では、保護基の着脱を経由しないジオール1のOverman/Claisen転位の開発 と、これを用いた(+)-neostenine (6) の全合成を報告する。</p><p> </p><p>2. 連続的Overman/Claisen転位の開発</p><p>アリル-1,2-ジオール1からの2連続シグマトロピー転位として、1段階目にOverman転位(7→8→10)、2段階目にClaisen転位(10→11)を用いることにした(スキーム2)。ジオール1より2つのシグマトロピー転位を連続的に達成するためには、1段階目のOverman転位においてアリルアルコールとホモアリルアルコールの区別化が重要となる。そこで、我々は平衡反応を利用したオルトアミド型Overman転位を計画した。1をCCl3CN、DBUで処理すると、環状オルトアミド7が得られる。7を加熱すると、開環によりアリルイミデート8とホモアリルイミデート9が生じる。9は閉環により7に戻るのに対し、8はOverman転位が進行してアリルアルコール10を与えると考えた。すなわち、平衡反応により保護基の着脱を経由せずに2つの水酸基が区別化可能となる。さらに、生じる10に対しワンポットにてClaisen転位を適用すれば、連続転位体11が得られると考えた。</p><p> </p><p>2-1. オルトアミド型Overman転位</p><p> L-酒石酸より誘導したアリル-1,2-ジオール12に対し、オルトアミド型Overman転位を検討した(スキーム3)。12をCCl3CNと触媒量のDBUで処理すると、環状オルトアミド13が高収率で得られた。13をBHT存在下180 °Cに加熱すると、オルトアミドの開環とOverman転位が一挙に進行し、14が単一異性体として、収率67%で得られた。</p><p> </p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763050493056
  • NII論文ID
    130007494595
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.57.0_oral1
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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