当科における新生児卵巣囊嚢腫18例の検討

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  • Management of Neonatal Ovarian Cysts: A Case Report of 18 Patients
  • トウ カ ニ オケル シンセイジ ランソウノウノウ シュ 18レイ ノ ケントウ

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抄録

<p>【目的】新生児卵巣囊腫は,生後早期の手術でもしばしば壊死を呈するため,妊孕性温存のためにはそのリスク評価が重要である.今回我々は,出生前診断を受けた卵巣囊腫症例の画像所見を後方視的に調査し,血流障害の危険因子や今後の治療方針について検討した.</p><p>【方法】2003年から2016年まで当科で経験した18例を対象とした.出生前および出生後の画像検査を元に,発見週数,左右位置変化,内部性状,囊腫径(出生前の最大時・出生直後)について経時的にまとめ,さらに臨床症状の有無,手術日齢,遊離・捻転の有無,術式,病理所見について調査を行った.</p><p>【結果】全18例中simple cystの7症例は自然退縮した.その他の11症例は,complex cyst症例および囊腫径4 cm以上または他疾患との鑑別困難なsimple cyst症例を手術適応として,腹腔鏡補助下に囊腫切除または付属器切除を施行した.手術所見では11例中8例に血流障害を認め,卵巣茎捻転が3例,遊離卵巣囊腫が2例,囊腫壁壊死が3例であった.また,出生前から出生後の画像検査にて,これら血流障害8例の全てに椎体を超える左右位置変化,complex cyst所見を認めた.囊腫径については,出生前最大時と出生直後を比較した囊腫径変化率は,血流障害8例で-6.79±7.06%,非血流障害+自然縮小の計10例で-24.69±16.29%であった(P=0.008).</p><p>【結論】新生児卵巣囊腫における血流障害の危険因子としては,画像検査でのcomplex cyst所見に加え,囊腫の左右位置変化や囊腫径が縮小しないことが考えられた.また上記所見を認めた場合は,可及的速やかな外科介入を検討し,卵巣温存に努めるべきと考えられた.</p>

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