パルプ工場排水の特徴と活性汚泥による処理について

  • 渡邊 誠幸
    日本製紙株式会社 研究開発本部 基盤技術研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Characteristics of Pulp Mill Effluents and Activated Sludge Process
  • パルプ コウジョウ ハイスイ ノ トクチョウ ト カッセイ オデイ ニ ヨル ショリ ニ ツイテ

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説明

<p>紙パルプ工場における排水処理は,主として物理化学的処理である凝集沈殿法および生物学的処理である活性汚泥処理法が採用されている。凝集沈殿法はSSを凝集剤で沈降させて除去するために用いられ,活性汚泥処理法は主に溶存有機物を好気性細菌で分解除去するために用いられる。</p><p>紙パルプ工場の排水はKP系排水,DIP系排水,マシン系排水などに分類され,それぞれ多様な有機物が含まれている。そのなかでKP系排水とDIP系排水のパルプ工場排水が活性汚泥で処理されることが多い。</p><p>パルプ工場排水の特性を評価するために,各パルプ系排水中の溶存有機物を疎水性酸性,疎水性中性,塩基性,親水性酸性,親水性中性の5成分に分画した。各成分の分解性を評価した結果,疎水性酸性成分が難分解性有機物の主成分であることが示唆された。この成分の最大の発生源はKP系排水である漂白排水であり,疎水性酸成分の主成分はリグニンであると考えられた。</p><p>また,排水の分解性は排水の特性だけでなく活性汚泥の性能にも影響された。各工場の活性汚泥と原排水(活性汚泥処理前の排水)を組み合わせて分解試験を行った結果,活性汚泥の分解性能に差があることが確認できた。そして汚泥中の細菌の遺伝子解析により,分解性能の高い汚泥中には難分解物質と考えられているリグニンのような芳香族有機物を分解できる細菌が優占していると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 72 (8), 902-906, 2018

    紙パルプ技術協会

参考文献 (4)*注記

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