Large-scale satellite DNA found in chimpanzees but not in humans: possible role in the generation of structural variation in chromosome terminal regions
-
- KOGA Akihiko
- 京都大・霊長類
-
- HIRAI Yuriko
- 京都大・霊長類
-
- UDONO Toshifumi
- 京都大・霊長類
-
- MATSUBAYASHI Kiyoaki
- 京都大・霊長類
-
- HIRAI Hirohisa
- 京都大・霊長類
Bibliographic Information
- Other Title
-
- チンパンジーにあってヒトにない大規模サテライトDNA:染色体端部での多様性創出に影響する可能性
Abstract
<p>ヒトとチンパンジーの間で,ゲノムの特性に,2つの大きな違いがある。[1] 染色体端部の構造の多様性が,ヒトではチンパンジーより高い。[2] チンパンジーの染色体の末端には大規模なサテライトDNAがある。[1] は具体的には,染色体間でのセグメント重複や遺伝子変換が,ヒトで高頻度でみられることである。[2] のDNAは,subterminal satellite repeatsとよばれる冗長な配列であり,ヒトにはない。[1] は,チンパンジーの方で多様性が低いと,言い換えてもよい。我々は,[2] が [1] の原因となっているとの仮説を立て,検証を行っている。一般に,染色体上のある地点で乗換え(遺伝情報の観点からは組換え)が起こると,その近辺では乗換えが抑制される。チンパンジーではサテライトDNAの部分で乗換えが頻繁に起こり,その結果として,内側に隣接する部分(ヒトの染色体端部に相当)で乗換えの頻度が下がり,これが多様性の低下をもたらすというのが,想定する機構である。この仮説の出発点としての「サテライトDNAの部分で乗換えが頻繁に起こる」につき,精子形成の減数分裂の推移を観察することで,可能性をさぐった。減数分裂の初期に,染色体の末端が細胞膜上の1地点に集まる時期がある。1点からループが多数突出する形状から,ブーケ構造とよばれる。ヒトでは,ブーケ構造は速やかに解消され,その後,染色体は赤道面に並ぶ。これに対しチンパンジーでは,この解消に長い時間を要することが,今回の観察からわかった。サテライトDNAの部分で乗換えが頻繁に起こり,このために解消に時間がかかると考えると,説明がつく。仮設の出発点を支持する結果であり,仮設の検証の進展となった。</p>
Journal
-
- Primate Research Supplement
-
Primate Research Supplement 34 (0), 44-44, 2018-07-01
Primate Society of Japan
- Tweet
Details 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282763071762048
-
- NII Article ID
- 130007521019
-
- Text Lang
- ja
-
- Data Source
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- Abstract License Flag
- Disallowed