網膜芽細胞腫の遺伝学的検査の臨床への導入に向けて

DOI
  • 牛尼 美年子
    独立行政法人国立がん研究センター研究所疾病ゲノムセンター
  • 菅野 康吉
    栃木県立がんセンター研究所がん遺伝子研究室・がん予防研究室
  • 鈴木 茂伸
    独立行政法人国立がん研究センター中央病院眼腫瘍科
  • 坂本 裕美
    独立行政法人国立がん研究センター研究所腫瘍ゲノム解析・情報研究部
  • 吉田 輝彦
    独立行政法人国立がん研究センター研究所腫瘍ゲノム解析・情報研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Retinoblastoma : Current Status of Genetic Diagnosis for Clinical Application

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抄録

小児悪性腫瘍の網膜芽細胞腫には両眼性と片眼性があり,生殖細胞系列の遺伝学的検査として染色体検査あるいはFISH 検査が保険適応となっている.国立がん研究センター中央病院には全国の約半数の患者が受診することより遺伝子診断の必要性が高く,1998 年に遺伝相談外来が開設されてから,発端者88 症例,血縁者74 例についてRB1遺伝子の解析を実施した.1)genomic DNA のdHPLC およびdirect sequencing,2)RT-PCR 産物のdirect sequencing,3)MLPA,4)FISH を組み合わせた結果,発端者の変異検出率は,家族歴陽性網膜芽細胞腫あるいは両眼発症例では93 %(60 症例中56 例),散発性の片眼性症例では11 %(28 症例中3 例)であった.従来のFISH 検査に各種遺伝子検査を組み合わせることにより遺伝子検査の感度が大きく改善され,家族歴のない片眼性発症例のリスク評価や,遺伝性網膜芽細胞腫のキャリアの診断などが可能となることから,早期診断・早期治療による患者および血縁者のQOL 向上への貢献が期待され,先進医療として申請した.

収録刊行物

  • 家族性腫瘍

    家族性腫瘍 10 (2), 65-70, 2010

    一般社団法人日本遺伝性腫瘍学会

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