取引システム高速化と始値形成

  • 太田 亘
    大阪大学大学院経済学研究科/金融・保険教育研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • トリヒキ システム コウソクカ ト ハジメネ ケイセイ

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抄録

<p>東京証券取引所は,2010年1月に取引システムを高速化したが,それが立会開始前の投資家の発注行動および始値形成に影響を与えたかについて分析した.高速化によって注文の発注およびキャンセルを短時間に確実に行うことができるようになると,情報投資家が開始直前に発注を集中させるとともに,始値の情報効率性が低下する可能性がある.注文不均衡および価格変化に関する分析において,それと整合的な変化が観察されたものの,高速化の半年経過以降は元の状態に戻っており,変化が継続していない.そのため,情報投資家は立会開始直前の発注を選好する,とはいえない.一方,注文キャンセルが自由にできると価格形成が阻害される,と議論されることがある.これに関する推計結果からは,高速化後に,立会開始前の大口注文の発注キャンセルが始値形成をより歪めるようになった,とはいえない.</p>

収録刊行物

  • 現代ファイナンス

    現代ファイナンス 35 (0), 31-61, 2014-07-31

    日本ファイナンス学会 MPTフォーラム

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