頸部腫瘤の診断と治療

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  • 第119回日本耳鼻咽喉科学会総会教育セミナー 頸部腫瘤の診断と治療 : 頸部良性腫瘤と頭頸部領域からのリンパ節転移を中心に
  • ダイ119カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ キョウイク セミナー ケイブ シュリュウ ノ シンダン ト チリョウ : ケイブ リョウセイ シュリュウ ト トウケイブ リョウイキ カラ ノ リンパセツ テンイ オ チュウシン ニ
  • ―頸部良性腫瘤と頭頸部領域からのリンパ節転移を中心に―

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説明

<p> 頸部腫瘤を鑑別するための分類はさまざまあるが, 小児では先天性と炎症性疾患を, 成人では炎症性疾患と腫瘍性疾患を念頭に置きながら診察することがひとつのポイントとなる.</p><p></p><p> 小児の場合, 80~90%は良性疾患とされ, 頸部リンパ節腫脹を来す炎症性疾患が最も多く, 咽頭粘膜・扁桃の発赤や腫脹の程度, 発熱などの身体所見も併せて, 深頸部膿瘍や川崎病などの重篤な疾患を見逃さないように注意することが必要である. また, ムンプスなど集団感染のリスクにも留意して, 流行している感染症情報にも注意しておく. 先天性のものとしては, 甲状舌管嚢胞や側頸嚢胞などの嚢胞性疾患のほか, 血管腫, リンパ管腫, 皮様嚢腫などを中心に, 腫瘤の存在部位や性状に注意しながら鑑別を進める. 悪性腫瘍の頻度は少ないとはいえ, 横紋筋肉腫などの肉腫系, 悪性リンパ腫などの血液系の悪性腫瘍も鑑別として常に念頭に置いておく.</p><p></p><p> 成人の場合, 同様に炎症性のリンパ節腫脹が頻度としては多いが, 癌のリンパ節転移の可能性を常に意識しておく. 転移性リンパ節の場合, その大半は頭頸部領域からの転移であるため, 上咽頭, 口蓋扁桃, 舌扁桃といった, 見逃しやすい領域の十分な視診・触診や, NBI 内視鏡等を用いた慎重な診断が重要である. 良性の腫瘤性病変は, 小児に頻度の多い先天性のものに加え, 脂肪腫, 神経鞘種, 傍神経節腫など多彩で, 慢性のリンパ増殖性疾患として木村病, サルコイドーシス, キャッスルマン病など, さらにはメトトレキサート関連リンパ増殖性疾患など, 既往症, 薬剤使用歴などにも注意を要する.</p><p></p><p> 診断の手順としては, 十分な問診, 基本的な視診・触診, 必要に応じた画像検査 (超音波を中心に) など, 侵襲の少ないものから順次行い, 悪性を疑うもしくは確定診断に必須の場合には, FNA, 生検も遅滞なく施行する.</p>

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