Analysis of the Dimensions on the Doors of Stonborough Villa

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Other Title
  • ストンボロー邸のドアの寸法体系に関する研究
  • ストンボローテイ ノ ドア ノ スンポウ タイケイ ニ カンスル ケンキュウ

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Abstract

哲学者ルートヴィッヒ・ヴィトゲンシュタインがアドルフ・ロースの弟子パウル・エンゲルマンとともに設計をおこなったストンボロー邸は、当時の建築家による建築における計画の考え方とは大きく異なる方法により秩序づけられた内部空間の関係性、機械工学レベルの精度の高さに特徴を持っており、また著書『論理哲学論考』の命題の記述方式とその空間構造の類似性が指摘されている。 この建築の空間構成の解読は、新しい建築空間の構成方法のあり方を考える上でも重要であり、また哲学者としてのヴィトゲンシュタインの活動や著作を読み解く上でも重要な作業であると考えられる。 非常に緻密に考えられ、かつ高い精度で建設されたストンボロー邸のディテールとその空間構成、こうした設計意図を読み解くためには、細部にわたる正確な寸法の把握と、空間を関係づける寸法体系の把握が前提となる。しかし、現在残されている1920 年代の図面および1976 年に実施された実測調査の記録には、こうした寸法体系を把握するためには必要な情報が欠落しており、研究をおこなう前提となる情報は整理されていない。  本研究においては、現地におけるレーザー測距器を使用した実測調査を行い、空間の関係性を考察する上で必要と思われる寸法の採取を新たに行った。この結果得られた情報を、残された1920 年代の図面および、1976 年に行われた実測調査の結果と照合し、情報の整理をおこなった。 これにより、これまで不明であった「朝食室」の寸法が明らかになり、主階を構成するすべての部屋に関する比較考察の基盤を確立した。さらに、実施調査の結果新たに得られた情報に基づき、各部屋の正確な容積およびそれらの比率の関係性を明らかにした。また特に、ストンボロー邸の空間の関係性を知る上で重要と思われる各部屋のドアの類型化を行い、ホールを中心とする5部屋の関係をそれらをつなぐドアという視点からとらえ、その寸法体系を明らかにすることを試みた。

Journal

  • design research

    design research 69 (0), 114-121, 2015

    Society for Design and Art Fusing with Science and Technology

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