開頭術後に発症した骨蝋による異物性前頭洞炎の2例

  • 小幡 翔
    独立行政法人労働者健康安全機構大阪労災病院 大阪大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 端山 昌樹
    大阪大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 前田 陽平
    大阪大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 武田 和也
    地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 津田 武
    大阪大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 横井 慶
    一般財団法人大阪府警察協会大阪警察病院
  • 猪原 秀典
    大阪大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Foreign Body Frontal Sinusitis due to Filling with Bone Wax after Craniotomy

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抄録

<p>骨蝋は骨面からの出血に対する止血素材としてよく用いられているが,稀ではあるものの慢性炎症や骨治癒阻害などの合併症も見られることがある。今回,開頭術後,十数年の経過を経て前頭洞炎を発症したと思われる2例を経験した。両症例ともに病変はCTでは軟部陰影の中に低吸収域で,またMRIではT1強調画像,T2強調画像いずれも無信号ないし低信号で描出され,副鼻腔内病変として非典型的な所見を呈していた。一例は手術記録が不詳であったため骨蝋の同定は困難であったが,一例では骨蝋の使用についての記載が認められた。いずれに対しても診断,および症状改善のために手術を行った。一例は前頭洞手術(Draf type III)を施行し,病変部より排膿を認め,内部には骨蝋を疑う黄白色の異物残留を認めた。残る一例はDraf 2bで前頭洞を開放したところ,膿貯留を認めず,骨蝋残留を認めた。いずれの症例でも術後は再発なく,良好な経過をたどった。過去の報告によれば,骨蝋は骨治癒阻害と細菌クリアランス低下により,十数年に渡って慢性炎症が遷延するとされる。そのため,開頭術後など骨蝋使用の経過があるか予想される症例では,異物性の炎症や膿瘍形成を鑑別にあげ,症状によっては手術による骨蝋除去を行う必要がある。</p>

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参考文献 (7)*注記

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