ハンセン病患者のための高等学校の形成過程

書誌事項

タイトル別名
  • The Historical Development of a Senior High School for Lepers
  • ハンセンビョウ カンジャ ノ タメノ コウトウ ガッコウ ノ ケイセイ カテイ

この論文をさがす

抄録

本研究の課題は、ハンセン病患者のための高等学校である岡山県立邑久高等学校新良田教室の形成過程を解明することである。そのために、全国ハンセン氏病患者協議会(全患協)の高等学校構想と厚生省、岡山県教育委員会をはじめとした各関係機関・関係者の政策意図を検討する。その際に、新良田教室の形成過程を癩予防法改正運動のダイナミズムと関連づけて解明するという方法論的視点を用いた。本研究の検討によって、全患協の高等学校構想が高校設立運動という側面だけでなくハンセン病療養体制の民主化運動という側面をもっていること、入所者の隔離維持・強化を主張する厚生省と対立する構想内容であったために厚生省をはじめとした関係機関、関係者の政策意図によって後退せざるを得なかったことの二点が解明された。ハンセン病患者のための高等学校は、全患協と厚生省をはじめとした関係機関との対立という緊張関係のなかで設立されたのである。

収録刊行物

  • 教育学研究

    教育学研究 74 (2), 240-250, 2007-06-29

    一般社団法人 日本教育学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ