敗血症性ショックにステロイド投与は有効か?不利益か?
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- 荒木 朋貴
- 国立病院機構災害医療センター薬剤部
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説明
コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれ,生体に侵襲が加わった際に分泌され,生体の恒常性維持に寄与する.敗血症性ショック患者では,ストレスの程度に対して十分な生体内反応が得られない,コルチゾール分泌不全(相対的副腎不全)状態となる.また,末梢組織のコルチゾール反応性低下が加わり,「重症関連コルチコステロイド障害」となる.このような機能的不全の是正による死亡回避を期待し,敗血症性ショックに対してステロイドが投与されてきたが,その評価は定まっていない.日本版敗血症治療ガイドライン(J-SSCG2016)では,十分な輸液と昇圧剤の投与でも循環動態が不安定な敗血症性ショックに対するヒドロコルチゾン(HDC)の使用は,「質の低いエビデンス」に基づく「弱い推奨」とされており,質の高いエビデンスが望まれる.今回,敗血症性ショックに対してステロイド投与が有効か検討したADRENAL試験の結果を紹介したい.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) The Japanese Clinical Guidelines for Management of Sepsis and Septic Shock 2016(J-SSCG2016).<br>2) Venkatesh B. et al., N. Engl. J. Med., 378, 797-808(2018).
収録刊行物
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- ファルマシア
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ファルマシア 55 (1), 72-72, 2019
公益社団法人 日本薬学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763082989440
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- NII論文ID
- 130007542103
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- ISSN
- 21897026
- 00148601
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可