書誌事項
- タイトル別名
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- Biology of <i>Synuchus cycloderus</i> (Coleoptera: Carabidae)—The seasonal activity, reproductive phenology and flight ability of adult populations
- クロツヤヒラタゴミムシ ノ セイタイ : セイチュウ ノ キセツ ショウチョウ,ハンショク ヨウシキ,ヒショウノウリョク
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説明
<p>クロツヤヒラタゴミムシは,日本全国に分布し,幅広い標高に生息する森林性の種で,生息地の変化に鋭敏な反応を示すことから,生物指標種として期待されている.しかし,その生態については不明な点が多い.そこで,本研究では,本種の生活史を明らかにするため,千葉県柏市の里山で2012年4月から2013年4月の期間,32個のピットフォールトラップで44回の定期調査をした.定期調査に加え合計196個のトラップを使用して6月と7月,9月,10月に拡大調査を実施した.さらに,本種の飛翔の有無を確認するために,2013年に年間を通じマレーズトラップ(3基),衝突板トラップ(10基)を設置した.定期調査で捕獲した1,272個体のうち142個体を解剖し,生殖器官の成熟度と飛翔筋の経時的変化を調べた.また,体長と後翅長については,拡大調査で捕獲した901個体を測定した.</p><p>本種は,5月に新成虫が出現し,7月までの間は未成熟で活動性は低い.その後10月までは活動を停止することから,夏眠すると考えられる.秋に短期間で斉一的に性成熟し,活動性が高まり多数捕獲される秋繁殖型の種である.活動最盛期の蔵卵数は平均109個で,卵サイズはほぼ斉一の小卵多産型である.後翅は長翅型であるが,体長および前翅長に対する後翅の相対比率が小さく,飛翔筋は認められなかった.さらに,マレーズトラップと衝突板トラップで捕獲されなかったことより,長翅型だが飛翔しないと考えられる.</p><p>本研究は,フィールド調査と解剖を組み合わせたことにより,生殖器官の成熟度や飛翔筋の発達状態などの経時的変化を把握し,本種の生活史の解明に寄与した.これらの知見は,今後,近縁種との比較研究の基礎的資料となるばかりでなく,本研究で採用した方法は,オサムシ科甲虫の生活史に関する知見を蓄積する際に活用できる.</p>
収録刊行物
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- 昆蟲.ニューシリーズ
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昆蟲.ニューシリーズ 20 (1), 19-31, 2017-01-05
一般社団法人 日本昆虫学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763084029312
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- NII論文ID
- 130007542965
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- NII書誌ID
- AA11248127
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- ISSN
- 24320269
- 13438794
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- NDL書誌ID
- 028121307
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可