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  • The Concept of Toy Safety in Japan and Other Countries
  • オモチャ ノ アンゼンセイ

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抄録

おもちゃの安全性の基準について,国内外の情報をまとめた。日本では主に3つの法律が関係している。食品衛生法は,幼児が口にする可能性のある製品に対する化学物質の基準を定めている。食品衛生法が,摂食のリスクを考えているのに対して,電気用品安全法や消費生活用品安全法では,身体への傷害を防ぐ目的で製品がつくられていることを保証するものである。電気製品としての玩具や遊具について規格基準を決め,それぞれPSEマーク,PSCマークを安全基準適合製品として認定している。(社)日本玩具協会は,国内外の安全性評価を取り入れた安全基準を設けており,適合製品にSTマークを認証している。国際的なおもちゃの安全性に関する規格基準として,ISO1824シリーズがあり,これは①機械的・物理的特性,②可燃特性,③化学特性についての基準を設けている。このもととなったのは欧州基準,EN71シリーズである。対象となるおもちゃの使用年齢,対象物質が,それぞれの地域で異なっている。有害化学物質として,日本の食品衛生法ではカドミウム,鉛,フタル酸エステル類が,欧州基準および国際基準では8種の重金属類が,また米国基準では鉛とフタル酸エステル類が取り上げられている。またおもちゃの使用年齢上限について,日本,欧州,アメリカで,それぞれ,6歳 (食品衛生法),14歳,12歳と異なっている。2007年に中国製品のマスリコールが生じたことにより,おもちゃの安全性規格の国際的な整合の必要性の機運が高まっている。日本では,国際規格にある3種の安全性に関する特性は,異なる省で規制しており,おもちゃの安全基準は統合的ではない。製造が中国,発売元が世界の各国というおもちゃ市場では,国際的な安全性基準が適用されることが望ましい時代になっている。

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参考文献 (17)*注記

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