血中プロカルシトニンが高値を示した甲状腺髄様がんの1症例

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タイトル別名
  • A case of high serum procalcitonin level in a patient with medullary thyroid carcinoma

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説明

<p>症例は74歳,男性。健診で癌胎児性抗原(CEA)の高値を指摘され当院へ紹介受診となり,陽電子放射断層撮影・コンピュータ断層撮影(PET-CT)で下咽頭と甲状腺右葉に集積が認められたため耳鼻咽喉・頭頸部外科へ紹介された。組織診により下咽頭がんと診断されたが甲状腺の腫瘍は確定診断困難であった。その後,下咽頭がん治療中に発熱(第1病日とする)があり,翌日の血液検査にてC反応性蛋白(CRP):19.17 mg/dL,白血球数:8,800/μL,プロカルシトニン:47.90 ng/dLと高値を認めた。第5病日に血液培養に発育がみられず陰性と判定された。第13病日にはCRP,白血球数ともに低下し患者の容体は良好であったが,プロカルシトニンのみが高値を示し続けたことから甲状腺髄様がんが疑われた。血液検査にてカルシトニンが高値,123I-メタヨードベンジルグアニジンを用いたシンチグラムでは甲状腺右葉の集積がわずかに亢進しており,甲状腺髄様がんに矛盾しない所見が得られた。以上の検査結果より甲状腺髄様がんの疑いが強かったため,甲状腺全摘および右頸部郭清術が施行された。甲状腺全摘出後プロカルシトニンは速やかに低下し,手術2日後に基準値以下となった。摘出された甲状腺は病理検査所見により甲状腺髄様がんと診断された。本症例では甲状腺髄様がん細胞によってプロカルシトニンが産生され血中へ流出していたと推測された。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 68 (1), 173-179, 2019-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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