赤芽球癆に対しシクロスポリンが奏効したSTAT3遺伝子D661V変異を有するT細胞大顆粒リンパ球性白血病

  • 安達 正晃
    JCHO札幌北辰病院 血液内科
  • 吉田 健一
    京都大学医学部医学研究科 腫瘍生物学講座
  • 白石 友一
    東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター
  • 千葉 健一
    東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター
  • 宮野 悟
    東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター
  • 小川 誠司
    京都大学医学部医学研究科 腫瘍生物学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Successful treatment of pure red cell aplasia with cyclosporin in a patient with T-cell large granular lymphocytic leukemia harboring the <i>STAT3</i> D661V mutation
  • 症例報告 赤芽球癆に対しシクロスポリンが奏効したSTAT3遺伝子D661V変異を有するT細胞大顆粒リンパ球性白血病
  • ショウレイ ホウコク アカ ガキュウロウ ニ タイシ シクロスポリン ガ ソウコウ シタ STAT3 イデンシ D661V ヘンイ オ ユウスル Tサイボウ ダイ カリュウ リンパキュウセイ ハッケツビョウ
  • [Successful treatment of pure red cell aplasia with cyclosporin in a patient with T-cell large granular lymphocytic leukemia harboring the STAT3 D661V mutation].

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説明

<p>症例は71歳男性。生来健康であったが,数週間ほど前から生じた易疲労感のために来院した。末梢血で軽度の好中球減少,貧血(Hb 10.5 g/dl),およびリンパ球増加(76%)を認め,形態的には大顆粒リンパ球(large granular lymphocyte, LGL)が多数を占めていた。骨髄検査でリンパ球増多(33.6%)と赤芽球減少(M/E比6.1)が目立つも異形成を認めずLGL細胞はCD3,CD7,CD8陽性で,T細胞レセプター(β/γ鎖)DNAの再構成を認めたためCD8陽性T細胞-LGL白血病と診断された。数ヶ月の経過中に明らかな要因なく,網赤血球数の低下とともに貧血が進行したためT-LGL白血病に続発した赤芽球癆(pure red cell aplasia, PRCA)と判断した。輸血依存となったPRCAに対してcyclosporin A(CsA, 3 mg/kg)治療を開始すると,一ヶ月以内に輸血非依存となり貧血は著しく改善しCsAの高い感受性が示された。CsA治療開始前に末梢血からDNAを採取し,全エクソンシークエンシングによりSTAT3遺伝子を含めた33個の遺伝子において体細胞性変異を同定したので,これらの遺伝子を提示する。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 60 (1), 39-45, 2019

    一般社団法人 日本血液学会

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