米国における品質の将来

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  • The Future of Quality in the United States

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抄録

米国では,"TQMは死んだ"というような新聞の見出しをよく目にする.しかしながら間違ってはいけない.TQMの概念や手法を用いている企業はどんどん増えている.ただ多くの企業はTQMというラベル,用語を使わないだけの話である.米国自動車産業の競争力回復に代表されるように,TQMは米国産業に目覚しいインパクトを与えた.マルコム・ボルトリッジ国家品質賞を獲得した企業の株価は,絶えずそれ以外の企業に比べて高い傾向を示している.このような成果にもかかわらず,なぜTQMは米国の経営者にある種のアピール力を失ったのであろうか.その一番の理由として,TQMの本質的な知識や全員参加という点について十分高いレベルに達している企業がほとんどないということがあげられる.その他の要因として・米国の経営者が短期的な結果を求める傾向があること・M&A(吸収・合併),買収が経営者や従業員の関心をそちらに逸らす・欧州に売るためのISO9000を取得する企業が増大・リエンジニアリングと他の新しい経営フレームワークの台頭(たとえば,従業員のエンパワーメントやラーニング・オーガナイゼーション等)があげられる.加えて米国人の新し物好きの性向という立場からは,TQMは必然的に古い経営理論ということになってしまう.このような問題点にもかかわらず,TQMという名前の是非は別として,その理念と方法は米国にとってこれからも生き残りかつ重要である.短期的な成果を上げかつ将来へ向けての体質強化というジレンマの中で,その両者を達成する上でTQMはこれからも米国ビジネスに不可欠である.

収録刊行物

  • 品質

    品質 26 (2), 7-9, 1996-04-15

    一般社団法人 日本品質管理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763096401024
  • NII論文ID
    110003154586
  • NII書誌ID
    AN00354769
  • DOI
    10.20684/quality.26.2_7
  • ISSN
    24321044
    03868230
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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