欧州におけるトータル・クオリティ

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  • Total Quality in Europe: Trends Past and Future

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抄録

欧州でも品質はビジネスの戦略的課題であるという意識は最近高まってきた.英国では,60年代中頃に政府による検査より予防(工程で品質を作り込む)を推進するキャンペーンが行われた.しかしながら,それは管理者や技術者の仕事であり,また労使の関係は冷めたいままでの取り組みであった.次の取り組みは,英国国防省をはじめとする供給者らに対するNATO標準(AQAPS)の採用であり,"標準が厳格に適用されると品質はそれについてくる"という発想に基づく品質契約の運用である.これは多種評価の問題等,多くの問題点を抱えて70年代後半に破綻した.この反省に基づいて制定されたのがBS5750であり,ISO9000である.このような過程で英国は多くの品質標準(規格)の専門家が生まれ,それ自体がビジネスになっている側面がある.しかしながら,これらはマネジメント・システムばかり強調されて従業員の役割が評価されていない.そうこうしているうちに日本や米国との品質の格差が歴然としてきた.一方,70代からは日本的TQCも紹介されるようになるが,QCサークルだけに関心が集まってしまう.そこで,QCサークルブームが起こる訳であるが,多くは短命で終わってしまう.その理由は品質専門家の支援がないこと,ISO9000の敵対概念としての位置づけである.しかしながら,80年も後半になると徐々にその実践も浸透し,ISO9000だけの取り組みと比べて顕著な効果が目で見る形で現れるようになってきた.さらに,このような動きは90年代に入りデミング賞に似た欧州品質賞が制定されたこともあり加速された感がある.しかしながら,私自身は必ずしも自体を楽観視していない.理由のひとつは根強いテーラーイズムの存在であり,今ひとつはEC(EU)の問題である.ECは外のマーケットを獲得するよりも自分達同士の違いにより関心があるようである.

収録刊行物

  • 品質

    品質 26 (2), 28-30, 1996-04-15

    一般社団法人 日本品質管理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763097154176
  • NII論文ID
    110003154590
  • NII書誌ID
    AN00354769
  • DOI
    10.20684/quality.26.2_28
  • ISSN
    24321044
    03868230
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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