タッチキュアがセルフエッチシステムの深部根管壁象牙質接着性能に及ぼす効果

DOI
  • 保坂 啓一
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 米倉 和秀
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 田口 啓太
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • アントニーン ティヒー
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 久野 裕介
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 永野 大樹
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 荒岡 大輔
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 畑山 貴志
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 佐藤 健人
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 高橋 真広
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 西谷 佳浩
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 顎顔面機能再建学講座 歯科保存学分野
  • 池田 正臣
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯理工学専攻 口腔機能再建工学
  • 中島 正俊
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野
  • 田上 順次
    東京医科歯科大学 (TMDU) 大学院医歯学総合研究科 医歯学系専攻 口腔機能再構築学講座 う蝕制御学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The Influence of a Touch-cure System on the Micro-tensile Bond Strength of Self-etch Adhesives to Root Canal Dentin

この論文をさがす

抄録

<p> 目的 : 近年, 生活歯のみならず根管処置歯に対しても接着性コンポジットレジンを用いた直接法支台築造法が行われる機会が増加している. ポスト窩洞における根管壁象牙質への接着では, 窩底部は照射光エネルギーが十分に到達しにくいことから, これまでデュアルキュア型接着システムおよびデュアルキュア型コンポジットレジンが多く用いられてきた. 現在では, デュアルキュア型コンポジットレジンとの間のタッチキュア (接触重合) によって, ボンドへの光照射が困難な部位に関しても重合性の向上を目指すシステムが紹介されている. 本研究では, タッチキュアがセルフエッチシステムの根管壁象牙質への接着性能に及ぼす効果を検討した.</p><p> 材料と方法 : ヒト抜去下顎小臼歯12本に径1.5mm, 深さ8mmのポスト窩洞を形成した後, 1ステップセルフエッチシステム, クリアフィルユニバーサルボンドQuickER (UBQ, クラレノリタケデンタル) および2ステップセルフエッチシステム, クリアフィルメガボンド2 (SE2, クラレノリタケデンタル) を用いて業者指示どおり接着処理を行った. SE2のボンドについては, デュアルキュア型コンポジットレジンとの間でタッチキュアを促進するクリアフィルDCアクティベーター (DCA, クラレノリタケデンタル) との等量混和の有無によって2群を設定した. ボンドへの光照射は, LED光照射器を用いて業者指示どおりそれぞれ10秒間行った. その後, クリアフィルDCコアオートミックスONEを充塡し, LED光照射器を使用して20秒間光照射を行った. 各接着システムについて, 根管接着試料は37°C水中に24時間保管後, 歯根軸に対し直角方向に棒状試片 (断面0.6×0.6mm) を32本作製し, 1窩洞の棒状試片を均等に分け, 合計16本の歯冠側群と根尖側群を設定した. その後, クロスヘッドスピード1mm/minにて微小引張り接着試験を行った. 得られた結果は歯冠側および根尖側, 4試料ずつ分類し, 2-way ANOVAおよびBonferroni補正を用いたt検定を用いて有意水準5%にて統計処理を行った.</p><p> 結果 : すべての群において, 根尖側の接着強さは歯冠側の接着強さより有意に低い値を示した. 歯冠側では, SE2+DCA群はUBQ群より有意に高い値を示したものの, SE2+DCA群とSE2群間, SE2群とUBQ群間の間には有意差は認められなかった. 一方, 根尖側ではすべての材料間に有意差は認められなかった. 根尖側における破断面の観察から, UBQ群, SE2+DCA群におけるBlister Formationが認められた.</p><p> 結論 : 1ステップセルフエッチシステム, 2ステップセルフエッチシステムともに深部根管壁象牙質では接着強さが減少し, タッチキュアの付与による接着性能向上効果は認められなかった. 溶媒が残存しやすく, 照射光の到達しにくいポスト窩洞深部の重合性の改善に関する課題が示唆された.</p>

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ