静岡県の郷土料理「黒はんぺん」と特産品「緑茶」を用いた中学校家庭科教材への試み

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  • A test to use a local dish and special product in Shizuoka as a part of home economics class in junior high school

抄録

【目的】静岡県の郷土料理である「黒はんぺん」は焼津港で豊漁なサバやイワシのすり身で作られ、一般的な白い「はんぺん」とは異なり、魚独特の臭いと強い歯ごたえを持つ。我が国の魚摂取量は1990年をピークに減少の一途をたどり、小・中学生が嫌いな給食メニューのトップが「魚全般」となるほど魚離れが深刻化し、魚を嫌いな理由に「臭い」が挙がる。静岡県の特産品である緑茶は、多くの効能を有し、抗菌・消臭効果の特性は天然添加物として利用できる。そこで我々は静岡県の郷土料理と特産品をコラボさせた新商品の開発を目指すと共に、中学校家庭科教材としての有用性を附属島田中学校での実践をとおして検証した。<br><br>【方法】緑茶黒はんぺんは、緑茶の形状と種類を検討し、6種類を選定した。緑茶の抗菌性を探るため、冷蔵保存期間における一般生菌数について標準寒天培地法を用い測定した。次に中学校家庭科教材への検討は、静岡大学教育学部附属島田中学校1学年118名に対して「日常食の調理と地域の食文化」の分野を利用し、調理実習を含めた2時間続きの授業を展開した。評価には事前・事後アンケートを用い、統計処理にて解析をおこなった。<br><br>【結果】緑茶黒はんぺんは、3番茶の粉末が最も強く抗菌性が示されることが明らかになり、緑茶の機能性を生かした新商品の開発へ期待が高まった。次に家庭科の授業実践について、本授業が面白かったと回答したものは86%で普通も含めると96%を超え、好評であった。本授業の難易度についてはA,B組よりC組が難しいと感じていたが、「面白かった」の回答率が最も高かったのはC組であった。これは事前に理科の授業で魚の解剖を学んでいたか否かが、難易度および興味関心に影響を与えたと考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763103812480
  • NII論文ID
    130007479328
  • DOI
    10.11402/ajscs.30.0_4
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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