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- 永田 勝太郎
- (公財)国際全人医療研究所 WHO(世界保健機関)心身医学・精神薬理学 リヒテンシュタイン国際学術大学院大学
書誌事項
- タイトル別名
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- The Evaluation of Balint Groups for Practicing Comprehensive Medicine and Achieving Comprehensive Health
- ゼン ジンテキ ケンコウ/イリョウ ノ ジッセン ノ タメ ノ バリント ・ グループワーク ノ ヒョウカ
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説明
<p>バリント方式(バリント療法)とは,全人的な患者理解の基礎であるバリント方式の医療面接法と,その教育訓練法であるバリント・グループワークを総称して,バリント方式,またはバリント療法という.バリント方式の医療面接法とは,相互主体的な(互いに尊敬しあえるような)医師―患者関係のもと,患者の抱える問題を身体・心理・社会・実存的にとらえる面接法である.緩和医療や生活習慣病のケア,プライマリ・ケアにおける全人的医療の実践にあたっては必須の方策であり,診断のみならず,治療としての役割をも果たす.また,バリント方式のグループワーク(バリント・グループ)はバリント方式の医療面接法が可能になるための訓練グループである.</p><p>バリント・グループワークに5回以上参加した参加者にアンケート調査を行ない,評価した.回答率69.9%.アンケートは,グループワークに関するもの,全人的理解に関するもの,治療者―患者関係に関するもの,医学方法論の適応に関するものに分類された.今回の評価では,多くの参加者がグループワークに満足し,楽しめ,患者に対する治療者の感情をシェアでき,全人的理解ができるようになり,傾聴できるようになり,それをケアに役立たせることができるようになった.さらに患者のもつ問題と資源が分析できるようになり,問題解決の方法が見えてきている.医学方法論の適応と限界を見据えた全人的医療ができるようになってきている.ケアの可能性を追究できるようになってきている.しかし,より深いケアを行なうには,月一回のグループワークでは不十分であると考えられた.本法は,医師と患者との良好な関係の中で,医師が患者に傾聴を行い,その過程の中から身体症状の背後に潜む身体・心理・社会・実存的な因子を双方が理解してゆき(相互主体的関係のもとで,interpersonal communication),患者の問題解決に役立てていくものである.時に患者は自らの病態の成り立ちに気づき,ライフスタイルを変え,セルフコントロールすることもある.近年のNBM(narrative based medicine)の基本を成すものである.</p><p>本療法は,医療教育にも用いられ,態度教育(affective domain)や治療的自我(therapeutic self)の教育としてWHO(世界保健機関)も推奨し,国際的に実践されている.</p>
収録刊行物
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- 全人的医療
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全人的医療 14 (1), 5-13, 2015-12-25
公益財団法人 国際全人医療研究所
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282763108416128
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- NII論文ID
- 130007634407
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- NII書誌ID
- AA11520074
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- ISSN
- 2434687X
- 13417150
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- NDL書誌ID
- 027699729
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可