価値の量的表現論

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タイトル別名
  • Expressing Value Quantitatively:
  • The Basis of the Value-Form

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説明

<p>価値形態論は,日本のマルクス経済学が世界に誇るべき研究蓄積を持つとともに,マルクス経済学原理論の体系において根幹に位置する領域である.戦後日本において大きな影響力を持った宇野弘蔵の価値形態論は,不確定な市場を理論化するための重要な起点となっていたが,現代的な資産市場の動態を前に,その説明力を失いつつある.本稿ではその不十分さを直視し,価値形態論の現代的意義を再構築すべく,宇野が批判対象としていた『資本論』のテキストに戻り,再批判を試みる.その際,戦後日本の最大級の論争であった宇野と久留間鮫造の間の価値形態論争を振り返り,価値形態の量的側面を取り去り質的側面に焦点を絞る質量二分法的方法の限界を確認する.その上で,宇野の価値形態論のロジックから,ある商品の価値を別の商品と比較する表現を,価値形態の基礎として取り出す.商品所有者は,ある商品を欲しいと思ったその瞬間に,その商品を手に入れるのに対して自らの手許の資産が足りるかどうかという,価値に関する量的比較を初源的に遂行している.市場とは,単なる商品交換ではなく,こうした比較表現を等置表現へと固めていく量的関係が結ばれていく場なのである.</p>

収録刊行物

  • 経済学論集

    経済学論集 82 (1), 41-63, 2017-07-01

    東京大学大学院経済学研究科

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763110164224
  • NII論文ID
    130007635872
  • NII書誌ID
    AN00070411
  • DOI
    10.32173/jeut.82.1_41
  • ISSN
    24344192
    00229768
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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