口腔保湿剤としてのグリセリン溶液の水分保持能力の検討

  • 森 啓輔
    佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座(主任:山下佳雄教授)
  • 小西 有望
    佐賀大学医学部附属病院看護部
  • 坂本 典子
    佐賀大学医学部附属病院看護部
  • 山田 知子
    佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座(主任:山下佳雄教授)
  • 江本 晶子
    佐賀大学医学部附属病院薬剤部
  • 小向 翔
    大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座(医学統計学)(主任:服部 聡教授)
  • 江口 由美子
    佐賀大学医学部附属病院看護部
  • 山下 佳雄
    佐賀大学医学部歯科口腔外科学講座(主任:山下佳雄教授)

書誌事項

タイトル別名
  • The Moisture-maintaining Capacity of Glycerin Solution as an Oral Moisturizer

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説明

<p> 口腔衛生状態を良好に維持するためには,適切な湿潤状態を維持することが重要である。しかし,高齢者の多くは加齢による唾液分泌能低下,内科的疾患やその治療薬の副作用のため口腔乾燥症を発症している。高齢化に伴い,この口腔乾燥症患者は年々増加しているが,その多くは対症療法として口腔保湿剤を使用している。しかし,経済的な理由から保湿剤の適正使用ができていない場合も多い。今回,安価なグリセリンを主成分とした溶液が口腔乾燥症に対して応用可能であるかどうかを,鳥ムネ肉を検体として用いて基礎実験を行った。比較溶液としては蒸留水,市販の口腔保湿剤(バトラージェルスプレー®)を用いた。水分量は口腔水分計ムーカス®を用いて測定し,水分保持能力は水分量の変化率(処置前水分量-120分後の水分量/処置前水分量×100)と定義した。結果,鳥ムネ肉における120分後のグリセリン溶液群とバトラージェルスプレー®群では同等な水分保持能力を示した。また,グリセリン溶液濃度(12・24・36%)と水分保持能力には統計学的に有意な相関関係は認められなかった。</p><p> 今回の実験結果から,グリセリン溶液は市販の口腔保湿剤と同等な水分保持能力を有することが判明した。グリセリンは安価なことから,経済面からも長期使用が可能な口腔保湿剤の一つになりうると考える。</p>

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 33 (4), 465-470, 2019-03-31

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

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