小型電気伝導度ロガーを用いた汽水域における広塩性魚の経験塩分の測定

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タイトル別名
  • Salinity measurement on euryhaline fish ranging in brackish water using micro conductivity loggers
  • コガタ デンキ デンドウド ロガー オ モチイタ キスイイキ ニ オケル コウエンセイギョ ノ ケイケン エンブン ノ ソクテイ

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説明

<p>汽水域に棲む魚類は,塩分が大きく変動する環境に順応するための生理的機構を持ち,さらに好みの塩分の環境水を選択する行動的順応を行う。生理的機構の研究に比べて,魚類の塩分選択に関する行動学的研究は少ない。その理由として,魚類の経験した塩分を計測することが技術的に難しいことが挙げられる。本稿では,広塩性魚であるクロダイ(Acanthopagrus schlegelii)を対象に2種の電気伝導度ロガー(ジオロケーター・ORI400-DTC)を取り付けて,汽水域で魚類が経験した塩分を測定した研究例として報告する。</p><p>ジオロケーターは,塩分を含む環境水でのみ通電することから,淡水域への進入を記録することができる。ジオロケーターをクロダイに付けたところ,放流から回収までの4日間で,淡水域の利用はみられなかった。ORI400-DTCは,深度・水温のほかに電気伝導度を1秒間隔で記録することができる高精度のデータロガーである。ORI400-DTCのデータから,記録した3日間のうち48%をクロダイの体液より低張と考えられる水域で過ごすことが明らかになった。さらにクロダイの経験水温・塩分から水温と塩分の密度躍層を調べた結果,深度1m付近に形成された密度躍層がクロダイの回遊行動に影響を与えていることが示唆された。クロダイのような海産魚の行動解析では,ORI400-DTCの利用が効果的であるが,淡水域へ進入する通し回遊魚の回遊行動の解析においては,より安価で小型のジオロケーターの適用も期待される。</p>

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