<i>Pythium</i> 属菌,生活様式がわかると病害防除の視点が見えてくる

書誌事項

タイトル別名
  • Clarification of life cycle in Pythium species generates an insight in a development of a disease control strategy
  • シンポジウム Pythium属菌,生活様式がわかると病害防除の視点が見えてくる
  • シンポジウム Pythiumゾクキン,セイカツ ヨウシキ ガ ワカル ト ビョウガイ ボウジョ ノ シテン ガ ミエテ クル

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抄録

近年,花や野菜生産で導入が急増している養液栽培においてPythium属菌による根部病害重大な被害をもたらしている。Pythium属菌は伝染力が極めて高く,防除するためには,発生を見つけてから防除する対処療法では発生を抑えることはできない。病原菌の行動を把握して常に先手を打つ必要がある。事例としてトルコギキョウの水耕栽培において問題となっているP. irregulareによる根腐病について種特異的LAMP検出法により調査したところ,本菌は清潔に保たれている温室内外,さらには苗を生産する温室外の苗テラスの前の土壌にも生息していることが明らかになった。また,病原菌の水耕養液中のモニタリングを行ったところ,作付け後の消毒が不十分で菌が残存していること,苗テラスから栽培温室への苗の移動作業に伴い人為的に病原菌が持ち込まれる可能性が明らかになった。さらに,マイクロサテライトマーカーによる個体群構造解析により,これらの病原菌の動向を確認できた。この結果を踏まえ,温室周辺の作業の動線にある通路のコンクリート張りや土壌の飛散を抑制するための防草シート張り,栽培後の消毒の徹底を行うことにより発病を抑制できるようになった。このように,病原菌の行動様式を明らかにする総合的な診断が,的確で効率的な防除戦略の開発を可能にする。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 73 (1), 2-4, 2019

    日本土壌微生物学会

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