シカによる樹木被害を受けた北八ヶ岳亜高山帯針葉樹林の19年間の動態

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タイトル別名
  • Stand dynamics over 19 years of a sub-alpine coniferous forest damaged by sika deer in Northern Yatsugatake

抄録

<p>我が国の亜高山帯域には比較的自然度の高い植生が残されている.一方,近年亜高山帯林の動態に及ぼす温暖化や獣害の影響が危惧されている.本報告では,長野県北八ヶ岳亜高山帯針葉樹林の長期動態とそれに及ぼすシカの影響を明らかにするために,原生林分に設置された1ha調査区内における19年間の樹木のモニタリング結果を解析した.本研究では,胸高直径≥5cmの幹は1997年から,樹高≥1.3mの幹は2000-2001年から計4回(2007,2011,2016年)の毎木調査を行い,幹の生死,シカによる被害,生存木の階層と胸高直径を記録・測定し,同時に林冠状態を判別した.シカによる樹木被害は2007年までは下層木に多くみられ,下層木の死亡率は10%/年以上であった.また,2007年には多くの下層木が死亡したため,本林分における林冠木密度は下層木より高くなった.その後,シカによる被害は林冠木でも顕著になり,2007-2016年における林冠木の被害はそれ以前より10倍以上になった.さらに,林冠木の死亡率が高くなると同時にギャップ面積割合が徐々に大きくなった.以上から本研究では亜高山帯針葉樹林の動態とシカによる樹木被害パターンの時系列的変化との関連性があることが示された.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763112405760
  • NII論文ID
    130007645663
  • DOI
    10.11519/jfsc.130.0_620
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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