腰椎dermoid cystの治療経験

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抄録

<p>症例は27歳男性.9か月前より特に誘引なく両下肢痛が出現した.近医受診し保存的加療が行われたが改善なく,MRIにて馬尾腫瘍を認め精査加療目的に当科外来を受診した.腰椎可動域に制限はなく神経学的にも異常を認めなかったが,仙椎部に皮膚洞を認めていた.X線で異常所見は認めずMRI像では第3腰椎レベルで馬尾を圧迫する硬膜内腫瘤を認めており,T1強調画像で淡い高信号,T2強調画像で内部不均一な高信号,ガドリニウム造影でまだらに軽度造影効果を呈しており,腫瘍摘出術を行った.硬膜を切開すると皮膜内に白色の充実成分を有する腫瘍を認め,内部に毛髪様の組織を多数認めた.病理所見では多量の角化物と重層扁平上皮を認め,表皮成分が多く含まれることが示唆された.手術所見で毛髪を認めたことから,最終的にdermoid cystと診断した.dermoid cystは全脊髄腫瘍中0.5~2%と稀であるがruptureにより脂肪滴が漏出し閉塞性水頭症や無菌性髄膜炎をきたした報告や,悪性転化をきたした報告があり観血的治療の適応と考えられる.術後下肢痛は改善し術後3か月のMRIで腫瘍の残存は認めず経過良好である.</p>

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