姿勢重心計測機器で把握した左右バランスと体力およびロコモ度との関連

DOI Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • The Relationships between Left-right Balance in Standing Posture, Physical Strength, and The Degree of Locomotion
  • シセイ ジュウシン ケイソク キキ デ ハアク シタ サユウ バランス ト タイリョク オヨビ ロコモド ト ノ カンレン

この論文をさがす

説明

<p>本研究では,重心計測機器の労働者の健康管理や保健指導への活用を目指し,両足立位姿勢での左右バランスと体力,ロコモ度との関連を明らかにすることを目的とした。</p><p>対象は宮崎県内のA社の労働者で,平成26年12月に実施したロコモ検診を受診した者とした。姿勢重心計測機器を用いて,立位姿勢での左右バランスと閉眼片足立ち時間を測定した。ロコモ検診では,問診,体力測定,ロコモ度テストを実施した。</p><p>対象は27歳から63歳までの78名,平均年齢±標準偏差は46.3±9.4歳であった。性別は男性54名(69.2%),女性24名(30.8%)であった。膝や腰,股関節等の運動器に痛みがある者は23名(29.5%),1年以内に転倒した経験がある者は6名(7.7%)であった。ロコモ度については,「ロコモ度1」6名(7.7%),「ロコモ度2」1名(1.3%),「非該当」71名(91.0%)であった。</p><p>体力測定において,長座体前屈は38名(48.6%),上体起こしは28名(37.9%),Timed Up and Goは8名(10.2%)が標準よりやや劣っていた。開眼片足立ち時間は標準より劣っている者はいなかった。左右バランスとロコモ検診との関連で,左右の足底部にかかる体重比の差(%)の絶対値である左右バランスが大きかったのは年代別で50歳代以上,転倒経験の有無では転倒経験ありの者でいずれも8%を超えていた。運動器の痛みの有無,転倒経験の有無,ロコモに該当するかどうかに関しては,有意差はみられなかったが,運動器の痛みなし,転倒経験あり,ロコモ非該当の群がそれぞれそうでない群に比べて,左右バランスが大きかった。左右バランスと体力との相関ではいずれも有意差がみられなかった。</p><p>今回,20歳代後半から60歳代前半の労働者において,柔軟性,筋持久力の低下がみられた。姿勢重心計測機器で測定した立位姿勢での左右バランスと体力,ロコモ度との間に有意な関連はみられなかったが,左右バランスの差が大きい者の特徴として,50歳代以上であることや転倒経験があることが示された。また,ロコモ非該当,運動器の痛みはなく,移動能力に問題はなくても左右バランスの差が大きければ,将来の転倒リスクは高いことが示唆された。</p><p>平衡性,筋持久力,柔軟性は,将来の転倒やロコモティブシンドローム予防のために必要な体力の指標である。ロコモや運動器の痛みがなく,移動能力に問題のない若い時期に,将来の転倒予防やロコモ予防の必要性を認識させるためには,姿勢を評価に加えることを検討する必要がある。労働者にはアンバランスな姿勢への気づきをきっかけに,生活を見つめ直すことの必要性を認識させ,日常生活の中で立っている時の姿勢や左右バランスを意識した身体づくりができるような保健指導が必要と考える。</p>

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ