怒りの経験(1): Averillの質問紙による成人と大学生の調査概況<sup>(注1)</sup>

書誌事項

タイトル別名
  • The Experience of Anger (1) : The Survey for Adults and University Students With Averill’s Questionnaire
  • 怒りの経験-1-Averillの質問紙による成人と大学生の調査概況
  • イカリ ノ ケイケン 1 Averill ノ シツモンシ ニ ヨル セイジン

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抄録

<p>本稿では,社会人124名と大学生130名,合計254名に対してAverillの質問紙を用いて行った「怒りの経験」謁査について回答の概況を報告した。この調査は,被験者が最近経験した最も激しい怒りの出来事について様々の角度から質問したもので,以下に結果の主要な点を列挙する。(1)怒りの対象のはとんどは人間で怒りは対人情緒である;(2)初対面の人より家族や知人など被験者にとって親しい人が怒りの対象になりやすい;(3)怒りの挑発因となった出来事は大部分が欲求不満やプライド損傷など心理的被害で,挑発者の行動が社会規範に反するという認知判断が被験者の強い怒りを誘発した;(4)怒りの動機は単純な仕返しだけでなく,相手の行動や相手と自分の関係を変化させる問題解決的要素が強かった;(5)被験者の行動は攻擊的と非攻撃的の両面があったが,前者には抑制が伴いやすかった;(6)挑発者の7割が被験者の怒りに気づき,その半分は謝罪を表わしたが他の半分は反発や敵意を表わした;(7)消化器系や循環器系の自律反応,あるいは顔面表出は被験者に怒りを自覚させる手がかりになっている;(8)大半の被験者はこの出来事の後でゆううつや一層の腹立ちなど不愉快な気持ちになったが,その不快感を鎖めるために出来事について後から再評価を試みる被験者も少なくなかった。</p>

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