P-1-F01 短期入所を利用する重症心身障害児者の看取り

DOI
  • 瀬口 直也
    独立行政法人 国立病院機構 医王病院 看護部
  • 北本 かをる
    独立行政法人 国立病院機構 医王病院 看護部
  • 丸箸 圭子
    独立行政法人 国立病院機構 医王病院 小児科

書誌事項

タイトル別名
  • −患者と家族への関わりからの学び−

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抄録

はじめに 短期入所や治療で外来・入院ともに長期に関わってきた在宅療養児が肺炎での入院中に全身状態が悪化した。家族から最後は自宅で看取りたいと希望がありスタッフは戸惑いながらも長く携わってきた家族の思いに寄り添いたいと関わった一症例を報告する。 症例 Aさん10歳女児 重度新生児仮死による脳性麻痺 慢性呼吸不全で終日人工呼吸器装着 定期的に短期入所を利用しているが最近は無気肺や肺炎で入院することも多かった。ADLは全介助、体位ドレナージ、MI-E使用で排痰を行っていた。 経過 X日に外来受診、両側肺炎で入院となった。点滴治療、抗生剤静注、肺理学療法で排痰など行ったが肝機能悪化、黄疸も見られるようになりX+7日目に血圧低下、無尿状態になりDOA開始、翌日にDOB追加するも反応不良のままDIC、多臓器不全へと移行した。主治医から家族に病状説明を行った後、母親は父親と相談し自宅へ帰ることを決心した。しかし、母親は自宅へ帰る道中の急変や決心したことへの不安がある様子が伺えた。看護師は、母親の不安を受け止めようと、声掛けや退院準備を説明しながら行った。車中ではAさんとの関わりを思い出し語りながら帰路へ着いた。自宅では訪問看護師が待機していたため引継ぎもスムーズに行うことができた。翌日家族に見守られ永眠した。 考察 家族から状態が不安定な中で退院したいという思いが聞かれることは病院スタッフ一同想定外で戸惑いもあった。しかし家族の希望に答えたいという強い思いがこのときに重要と考えた。「子どもにとって最善の利益とは、親がそうして良かったと思えることであり、その親の価値観や信念を尊重し、子どもの療育に責任を持つ親を支えることが看護師の役割である。」と井上は述べている。このことから患者を思う母親の気持ちに寄り添うことで患者にとって最善の利益になると考えた。今後、短期入所の患者だけでなく入院中の患者の終末期を考える一つの指標としたい。

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