釧路湿原におけるハンノキの形態と冠水環境への適応について

書誌事項

タイトル別名
  • Relation of Alnus japonica Form and its Adaptation for Inundation Environment in the Kushiro Mire
  • クシロ シツゲン ニ オケル ハンノキ ノ ケイタイ ト カンスイ カンキョウ エ ノ テキオウ ニ ツイテ

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説明

ハンノキ形態と冠水環境との関係を明らかにするため,釧路湿原の地下水位計近傍15 箇所において,ハンノキの樹高,幹の地際及び根系最上端の高さの現地調査を行った.ハンノキは,タイプにかかわらず地盤より平均で約17 cm 高いところに地際があり,根系の最上端は地際よりさらに高いところに確認された.根系最上端の位置は期間平均水位より高いことから,高い位置に根系を発生させることで冠水環境に対応していることが示唆された.根系最上端が12 時間から1 週間連続して冠水する条件では,生存するハンノキの個体数割合が急激に減少すること,また連続1 週間以上の冠水条件では萌芽形態の方が単幹形態よりも生存する個体数割合が高いことがわかった.これらのことから,ハンノキは地盤よりも高い位置に生育し,さらに高い位置に根系を発生させ,萌芽形態をとることによって,より長い時間の冠水条件に適応していることが示された.

収録刊行物

  • 湿地研究

    湿地研究 1 (0), 43-53, 2010

    日本湿地学会

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