農業生産システムの評価法

  • 池口 厚男
    農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所

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タイトル別名
  • Evaluation methods of agricultural production systems
  • ノウギョウ セイサン システム ノ ヒョウカホウ

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抄録

<p>農業生産系を評価、分析する手法として多くの方法があり、評価、分析する目的や対象系の性質によって、どの方法を選択するか当然異なってくる。ここでは農業生産系を評価する一つの切り口として、系を廃棄側からみる視点と系の持続性の評価、さらに経済性、エネルギー、家畜福祉、生産者の満足度も含めた多面的評価についての研究例を示した。農業生産系を廃棄という側面から評価する方法として、槌田らが提唱した「資源物理学」の考え方を導入した。指標には熱拡散におけるエントロピーの流れを用い、指標の検討には、鶏卵生産を対象としてシミュレーションにより4つの生産地域、2つの飼養形態の違いを経済性(粗収益)、エネルギー効率、エントロピーを用いた廃棄の観点から評価した。その結果、経済性においては、寒冷地域である帯広で閉鎖型鶏舎を用いた飼養方式が本シミュレーションでは最も良かったが、エネルギー効率では温暖地域の宮崎の開放型が良かった。廃棄では温暖地域ほど少なくなった。単位収益、生産量当たりの廃棄という組合わせ指標等も勘案し、総合的にみると温暖地域における開放型が本条件において鶏卵生産には最も適正と試算された。上記の線形領域にある系の持続性に関しては、非平衡定常状態の安定性をエントロピー生成速度で表現することの可能性を示した。多面的評価においては、農業所得、投入エネルギー、窒素負荷、家畜福祉(診療費)、生産者の満足度の5つの評価軸を用いた。対象地域として、北海道における酪農家と畑作農家が混在するS町と草地を所有する酪農家のみのH町とした。多次元の評価軸をあえて統合化せずに、レーダーチャートでプロットすることで、両町における指標の違いを視覚的に提示した。</p>

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参考文献 (13)*注記

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