赤血球膜異常症とサラセミア

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タイトル別名
  • Red cell membrane disorders and thalassemia
  • セッケッキュウマク イジョウショウ ト サラセミア
  • —deepening of genomic medicine and future prospects—

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抄録

<p>先天性溶血性貧血には,赤血球膜異常症,ヘモグロビン異常症および赤血球酵素異常症の三大疾患がある。このうち,赤血球膜蛋白の異常に起因した膜異常症では,しばしばその疾患特有の赤血球形態異常を有しており,歴史的には形態をもとに分類されてきた。近年,診断困難な溶血性貧血症例に次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析が行われ,新規原因遺伝子の同定が進むにつれ,一部の症例では病名と病態の乖離が明らかになってきている。また,ヘモグロビン異常症のうち,ヘモグロビンを構成するグロビン鎖の量的異常に起因するサラセミアは,諸外国と比べ日本人ではほとんどが軽症型であることが特徴であった。しかし,国際化に伴い日本でも症状を有する中間型,重症型が増加しており,出生前診断や遺伝子治療に関する知識が血液専門医に求められるようになってきている。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 60 (5), 423-432, 2019

    一般社団法人 日本血液学会

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