P-2-E04 筋緊張・拘縮が強く過敏な児に対するポジショニングの工夫

DOI
  • 齊藤 恵
    富山県リハビリテーション病院・こども支援センター
  • 辻口 弘枝
    富山県リハビリテーション病院・こども支援センター
  • 高木 すが子
    富山県リハビリテーション病院・こども支援センター

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抄録

目的 重症心身障害児は自ら姿勢を変えることが困難なため、同一姿勢になりやすい。そのため異常な姿勢や運動により変形や拘縮が悪化し、呼吸障害・胃腸障害を併発することが多い。今回ポジショニングや音・タッチングの刺激により筋緊張が強く表れ、仰臥位姿勢しかとれなかった児に対し、ポジショニンググッズ(以下、グッズ)を作成し使用した結果、側臥位姿勢がとれるようになったので報告する。 事例紹介 10代男児、脳性麻痺。ADL全介助。気管切開カニューレ挿入中。胃食道逆流現象あり。胃・腸瘻栄養中。脊柱側弯、下肢の変形拘縮あり。刺激で筋緊張が入り、全身を弓なりに反らせる。 方法 理学療法士と連携し支持基底面が整えられ筋緊張が減少するよう、側臥位用ロール2種類とクッションを作成した。グッズの使用方法は写真を用いて、過敏や特性に配慮したポイントを記入し統一した。グッズ使用時不安表情や筋緊張がみられたときには、リラクゼーションを行い関わった。姿勢の変化を介入前後で比較した。倫理的配慮として、家族に趣旨、拒否をしても不利益を受けないこと、データの管理について口頭と文書で説明した。同意を得、倫理委員会にて承認を得た。写真は個人が特定されないよう配慮することを条件に掲示の了解を得た。 結果 介入前は筋緊張・拘縮が強く、過敏により姿勢の崩れが激しかったため、1日平均15時間を仰臥位姿勢で過ごしていた。しかし支持基底面を整えるグッズを使用するとともに、ポジショニング前の声がけやリラクゼーションを行うことで筋緊張が軽減され、不安表情が無くなり、苦手な右側臥位で入眠できるようになった。1カ月間くり返し試みることで、30度から90度の側臥位姿勢が維持できるようになり、仰臥位姿勢が6時間に減った。 結論 筋緊張・拘縮が強く過敏な児に対するポジショニングには、児に合ったグッズの使用とリラクゼーションの関わりを上手く取り入れることが効果的である。

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