活動性低下の要因として二次性副腎皮質機能低下症が疑われた重症心身障害者の1例

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タイトル別名
  • Decline in activities of daily living as a manifestation of secondary adrenal insufficiency in a patient with severe motor and intellectual disabilities.
  • 症例報告 活動性低下の要因として二次性副腎皮質機能低下症が疑われた重症心身障害者の1例
  • ショウレイ ホウコク カツドウセイ テイカ ノ ヨウイン ト シテ ニジセイ フクジン ヒシツ キノウ テイカショウ ガ ウタガワレタ ジュウショウ シンシン ショウガイシャ ノ 1レイ

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抄録

症例は発症時53歳、男性の重症心身障害者である。数日の経過で四つ這い移動や歩行器を用いた介助歩行を行わなくなり、下肢痛を思わせる素振りもみせるようになった。身体所見や諸検査から骨折、感染、リウマチ性疾患などは否定的であった。コルチゾールとACTHの基礎値、ACTH負荷に対するコルチゾールの反応性などはある程度保たれていたが、続発性副腎皮質機能低下症を完全には否定できなかった。さらにCRH負荷試験、他の下垂体を含む各種ホルモン検査の結果から、ACTH単独欠損症が疑われた。ヒドロコルチゾン補充により臨床症状は劇的に改善し、二次性副腎皮質機能低下症の診断が妥当と考えた。副腎不全の臨床症状は非特異的なものが多く、軽症例では負荷試験を含めたホルモン値に明らかな異常を示さないこともある。本症はホルモン補充によって完全寛解が見込めるため、特に活動性の低下を主訴とする重症心身障害者では積極的に鑑別すべきである。また本例のごとく疼痛などの筋骨格症状をみた際には本症も鑑別対象に加える必要がある。

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