O-1-C09 超重症児に対する療育の必要性

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  • −母親の想いと支援者の想い−

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抄録

はじめに 当センターでは、平成26年度より、外出が困難な超重症児等を対象に、保育士等が自宅を訪問して療育を提供する「家庭訪問療育」のサービスを行っている。平成28年度までに6名の利用があった。今回、その中の1ケースを紹介し、超重症児の支援者として気づき、学んだことを報告する。 症例 現在5歳の女児。1歳8カ月時にウイルス性脳炎を発症し、入院。人工呼吸器管理となる。超重症児スコア32点、超重症児分類1。2歳3カ月時に自宅退院、2歳6カ月時から家庭訪問療育を開始した。なお、今回の発表について、保護者の同意を得ている。 支援者の想い 家庭訪問療育の目的は、親子で一緒に楽しんで遊ぶ経験を増やすこととしていた。しかし、療育を行う中で、反応がとても小さく、わかりにくい本児に対して、自分たちが提供している療育に意味があるのか、支援となっているのかと悩むようになった。 母親の想い このような悩みに対する一つの検討として母親にインタビューを行い、分析した。退院直後は通園施設に通うことは難しいと考えていたが、療育自体を望まないわけではなく、家庭でいろいろな経験ができることがニードに合っていたようであった。提供された療育に対して、本児の目に見えるような反応を期待しているというより、活動を親子で楽しむことを重視しているようであった。 まとめ 超重症児に対する療育の効果を示す研究は少ない。そのような背景もあり、生活を支える母親の負担を考慮すると、療育の優先順位を低くとらえがちである。しかし、今回のケースを通して、私たち支援者が考えていた以上に、親は我が子に子どもらしい経験をしながら育っていってほしいと願っており、療育はその願いに応える力を持っていると気付くことができた。初めに設定した目的は間違っていなかったが、私たちが悩んだ、子どもたちに届く活動の探求も続け、支援者として正面から向き合い続けていきたいと思う。

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