ファッションブランド店の集積状況にみる都市体系と中心商業地の現状

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タイトル別名
  • The Current State of the Urban System and the Central Commercial District as seen from the Accumulation Situation of Fashion Brand Shops

抄録

大規模小売店の質的な比較を目指してその売場の多くを占める構成単位としてファッション分野ブランドショップの集積および構成の比較を行った。ナショナルブランドが多数を占めるファッション分野のショップの、大規模小売店内に限らない立地分布から消費の場面での都市体系および現時点での中心商業地の存在感を量的に把握する。従来ファッション産業や大規模小売店については大都市・大型店の個性への着目がほとんどであり中小店に対しては「どこにでもある」存在としてネガティブな語られ方をされる場面が多い。だがマスプロダクションによるナショナルブランドとしてはマジョリティ層への商品供給体制こそ重要でありその舞台は全国の都市に出店する支店群であろう。それらの立地特性を通して現在の中心商業地の集積状況および買い回り購買環境の実態、また地方・郊外商業集積におけるブランド集積の量的な分布体系と同時に品揃えの稀少性の評価指標を作成して消費の場面での都市システムの体系を明らかにすることを目指す。<br>ここでは規模・品揃えは捨象してショップの有無のみを分析対象とする。 平成30年の5月~7月にかけて主要アパレルメーカーのサイトの店舗リストをもとに作成した婦人ファッションショップ370ブランド14859店(ラグジュアリーブランド53,1628店,百貨店系アパレル99,4637店,SC系アパレル228,8594店)を用いる。ショップの96.5%は大規模小売店内に出店している実態を踏まえ、13店舗以上が半径500m以内に連担する地域を定義として全国215の商業集積(うち97は単独大規模小売店)を抽出した。集積内出店率は76.2%(百貨店系では92.6%,SC系63.8%)である。<br>全体的傾向は集積量でかなりの部分を説明することができるが質的な特徴を見出すためにクラスター分析の他、総店舗数の少ないショップの存在を評価する指数を考案して評価を試みたが個性的な出店傾向がみられるのはほとんどが大都市の大集積という結果になった。<br>百貨店は大半が中心商業地に立地し、百貨店系ショップの89.7%が200店弱の百貨店内に出店し完結性が高いため店舗群/ブランド群としての特徴は追いやすく、百貨店の資本系列と関係なく店舗規模と立地でほぼ説明できる全国的体系が把握できる。百貨店業界自体の衰退が進み人口30万未満の都市への立地や同一集積内での競合は激減し、また県内に1店舗となった県は17にのぼる。<br>SC系ショップ(都心型/駅ビルファッションビルおよび郊外モール。ショップ出店傾向で明瞭な差はみられない。)はヤング向け、キャリア向けといったいくつかのターゲット層向けの比較的廉価なブランドを含み、都市によりファッションビルの存否などにより中心商業地出店率が大きく異なる。ここで定義する商業集積に含まれる巨大郊外SCは限られるため(イオンモール148店のうち集積に含むのは40)中心都市の行政区域外に立地する例はさほど多くないが、それらを含め消費の場面での都市としての求心力を評価することができると考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763120967168
  • NII論文ID
    130007628503
  • DOI
    10.14866/ajg.2019s.0_202
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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