<b>我が国における対流圏界面高度と対流圏気温減率の年変化の地域差</b>

  • 中川 清隆
    立正大学地球環境科学部環境システム学科
  • 渡来 靖
    立正大学地球環境科学部環境システム学科

書誌事項

タイトル別名
  • <b>Regional difference of the annual marches of tropopause height</b><b> and tropospheric lapse rate in Japan</b>

説明

Ⅰ.はじめに<br> 筆者らは,昨秋の気象学会において最近30年間の我が国高層気象観測官署における地上気温と対流圏気温減率の対応関係を調査し,暖候季の対流圏気温減率はほぼ に収束するが,寒候季には対流圏気温減率が拡散して両者の散布図上プロットが疑似三角形を呈することを見出した.この度, 上記データのうち地上目視観測結果が有効な場合についてのみ, 天気別対流圏界面高度と対流圏気温減率の年変化および両者の対応関係の地域差を調査したのでその結果の概要を報告する.<br><br>Ⅱ.対流圏界面高度の年変化<br> 対流圏界面高度の年変化は低緯度の南鳥島では一年中17000m前後のほぼ一定高度で推移するが,八丈島では寒候季に高低二段の対流圏界面高度が出現し,館野以北では暖候季に高く寒候季に低い明瞭な年変化が現れ,高緯度ほど暖候季の高高度期間は短くなる. 暖候季は熱帯対流圏界面,寒候季は極対流圏界面が上空を覆うためと解釈される.雪やみぞれは寒候季に限定されるが,快晴は通年の傾向を良く反映している.<br><br>Ⅲ.対流圏気温減率の年変化<br> 対流圏気温減率の年変化は210DOY(8月下旬)付近の暖候季には対流圏気温減率はほぼに収束し,寒候季には様々な対流圏気温減率が出現するものの,天気別に異なる傾向は認められず,寒候季高緯度における対流圏気温減率の拡散が雲の有無によるとは判断できない.<br><br>Ⅳ.対流圏気温減率の地上気温依存性<br> 対流圏気温減率の地上気温依存性を天気別に描画して観察した.低緯度の南鳥島ではかなり高い温度依存性を示すが,高緯度では寒候季に温度依存性が認められなくなる.快晴時のデータはほぼ一様に分布しており雲の有無の関与は認め難い.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763120969472
  • NII論文ID
    130007628463
  • DOI
    10.14866/ajg.2019s.0_19
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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