電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律

  • 影井 敬義
    総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課課長補佐
  • 髙橋 真紀
    総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課課長補佐
  • 後藤 篤志
    総務省情報流通行政局サイバーセキュリティ課課長補佐

書誌事項

タイトル別名
  • 立案担当者解説 電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律
  • リツアン タントウシャ カイセツ デンキ ツウシン ジギョウホウ オヨビ コクリツ ケンキュウ カイハツ ホウジン ジョウホウ ツウシン ケンキュウ キコウホウ ノ イチブ オ カイセイ スル ホウリツ

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抄録

<p>第196 回通常国会において成立した「電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律」は、①電気通信事業者によるサイバー攻撃への対処に係る制度の新設、②電気通信番号計画及び電気通信番号計画に係る制度の新設、③電気通信業務の休止及び廃止に係る情報の整理及び公表の制度の新設などを行うものである。</p><p>①について、近年DDoS 攻撃等のサイバー攻撃による大規模な通信障害が発生しており、今後インターネットに接続されるIoT 機器が著しく増加するに伴いこれらを悪用したサイバー攻撃の増加が懸念されること及び2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催時に我が国がサイバー攻撃の標的となる可能性が高まることに鑑み、サイバー攻撃によるインターネットにおける通信障害の防止に向けた体制整備が急務となっている。このため、電気通信事業者間のサイバー攻撃に関する情報共有を促進する目的から、当該情報共有の結節点となる第三者機関を総務大臣が認定する制度を設けることとしている。また、電気通信事業者によるパスワード設定等に不備のある電気通信設備の利用者への注意喚起を促す目的から、国立研究開発法人情報通信研究機構の業務に当該電気通信設備の調査及び当該電気通信設備に係る電気通信事業者への対処を求める通知を追加することとしている。</p><p>②について、固定電話網のIP 網への移行、モバイル化・IoT 化の進展等の電気通信事業を取り巻く状況が変化する中、多様な電気通信役務を提供する基盤となる電気通信番号の重要性が増大していること等を踏まえ、従来は総務省令で定める基準に適合すべきものとされていた電気通信番号について、電気通信事業者に対する電気通信番号の使用に関する義務、総務大臣による電気通信番号計画の作成・公示、電気通信事業者が作成する電気通信番号使用計画の認定及び電気通信事業者が使用する電気通信番号の指定等、電気通信番号に関する基本的事項を法定することとしている。</p><p>③について、固定電話網のIP 網への移行や電気通信設備の老朽化等を背景として、電気通信事業者が利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務に係る電気通信業務等を休止又は廃止する際の利用者保護を図るため、電気通信業務の休止及び廃止に関する周知の実施について事前届出制を導入し、総務大臣が整理及び公表する等の制度を設けることとしている。 </p><p>本法律は、情報通信技術の進展に対応し、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護するため、電気通信事業者によるサイバー攻撃への対処に係る制度、電気通信番号計画及び電気通信番号計画に係る制度並びに電気通信業務の休止及び廃止の際の利用者保護に係る制度の整備などを行うものである。</p><p>本稿では、本法律の制定に至る検討の経緯及び論点を紹介した上で、各改正事項の概要について解説することとしたい。なお、本稿中意見にわたる部分は筆者らの個人的見解であることを予めお断りしておきたい。</p>

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