ネット逃避の現状―インターネットおよびアプリケーションの過剰使用者へのオンラインインタビュー調査より

DOI

抄録

<p>インターネット依存問題に関連し、逃避目的による使用と依存との関連性が、いくつかの量的研究により明らかになっている。本研究では、インターネットおよびアプリケーションの過剰使用者がどのようなストレスを抱え、どのようにして逃避し、どのような問題に直面しているのか、具体的な様体を把握するために、半構造化オンライングループインタビュー調査を実施した。20代・30代の過剰使用者19人を選出し、2017年12月8日・9日に、オンラインチャットシステムを用いて実施した。分析に際し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。</p><p>分析の結果、ストレッサーとして<日々生じるストレス><恒常的ストレス>の概念が見出された。インターネットおよびアプリケーションによる気分調整として<リラックス><発散・高揚>の概念が、逃避として<共感による安心><現実的感覚の遮断>の概念が見出された。<リラックス>に分類された8人の発言のうち5人の発言は動画閲覧に関するものであり、<発散・高揚>に分類された12人の発言のうち7人の発言はゲーム使用に関するものであった。<共感による安心>に着目すると、9人の発言のうち6人の発言はSNS使用に関するものであった。また、<恒常的ストレス>に該当した7人のうち6人が<共感による安心>に該当していた。インターネットおよびアプリケーションの過剰使用により生じた健康の問題として<身体的問題><精神的問題>が、社会的問題として<人間関係の問題><ひきこもり傾向><社会生活・責任の軽視><経済的問題>の概念が見出された。<精神的問題>においては、10人の発言のうち6人の発言はSNS使用に関するものであった。使用軽減のために考えられる長期的対処として、<生活・人間関係の充実><他の趣味>が、即時的対処として、<運動><飲食><休息><遮断><相談>の概念が見出された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763122765568
  • NII論文ID
    130007623890
  • DOI
    10.24798/jicp.2.2_49
  • ISSN
    24329177
    24336254
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ