キヌイトアオノリの成熟誘導に及ぼす藻体の断片化および培養温度と塩分条件

  • 島田 裕至
    千葉県水産総合研究センター東京湾漁業研究所 現所属:千葉県庁農林水産部水産局水産課
  • 正清 友香
    お茶の水女子大学基幹研究院自然科学専攻
  • 嶌田 智
    お茶の水女子大学基幹研究院自然科学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Thallus fragmentation and culture temperature and salinity conditions for induction of maturation of <I>Ulva mediterranea</I>
  • キヌイトアオノリ ノ セイジュク ユウドウ ニ オヨボス ソウタイ ノ ダンペンカ オヨビ バイヨウ オンド ト エンブン ジョウケン

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抄録

キヌイトアオノリ藻体の成熟を誘導するため,成熟阻害物質の流出による効果の検証および培養温度と塩分条件の解明に取り組んだ。成熟阻害物質の流出実験は,藻体を直径 3 mm に断片化した2層ディスクと2層ディスクの細胞層を分離した1層ディスクの成熟率を比較し,1層ディスク(83.3%)が2層ディスク(16.7%)に比べて有意(p<0.05)に高かった。培養温度の実験では10,15,20,25および30℃で2層ディスクと1層ディスクの成熟率を比較し,成熟適温は20~25℃,最適温度は25℃であった。ディスク間では1層ディスクで短期的かつ急激に成熟が進行した。培養塩分の実験は100,80,60,40,20%海水及び蒸留水(それぞれ塩分30,25,18,12,5,0 psu)で1層ディスクの成熟率を比較した。60,80および100%海水で成熟し,最適塩分は100%海水であった。以上,藻体の断片化によって著しい成熟促進効果を認め,その要因は成熟阻害物質が流出するためと考えられた。

収録刊行物

  • 水産増殖

    水産増殖 66 (2), 117-122, 2018

    日本水産増殖学会

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